平成21年における、日本の0歳児の平均余命(当該国の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の者が平均してあと何年生きられるかという期待値)は、厚生労働省の発表によれば、男児が79.59年、女児が86.44年だそうです。
日本の0歳児の平均余命を、おおよそ80年とすれば、その3人分は240年。今から、その3人分である240年前、1776年の7月4日に、現在の米国ペンシルバニア州フィラデルフィアにおいて、英国の13の植民地(Thirteen Colonies)の代表により、アメリカ独立宣言(原文では、The unanimous Declaration of the thirteen united States of America)が、採択されたそうです。
先の大戦において戦闘行為が終結してから、71年。建国以来240年の米国の歴史が長いのか短いのか、どう受け止めるかは、人それぞれでしょう。
南極大陸とは違い、無人の地ではなく、多くの原住民がいた北米大陸において、米国は、西へ西へと領土を拡張していきました。1859年にペンシルバニア州で原油の機械掘りに成功し、近代石油産業において先鞭をつけた米国は、豊富な原油に基づく軍事力(油がないと飛行機は飛びません)及び経済力によって、一気に大国の座にのし上がり、今に至っています。
そういう米国を含む多くの主要国の政府の力が、軒並み低下してきていると、僕は感じています。ことの良し悪しは別として、米ソ冷戦下においては、自称イスラミックステイトのようなものが存在する余地は、無かったのではないでしょうか。
また、近年、クリミア半島や、シリア及びイラクで、起きたこと、起きていることに対する米国の対応は、ソ連・ロシアの長年にわたる行動様式や、シリア独立の過程で構築されてきた、ソ連・ロシアとシリアのずぶずぶの関係を考慮すれば、米国外交の劣化の証左以外の何物でもありません。スプラトリー諸島近海で起きていることに対する米国の対応に関しても、同様です。
いつの世でも、苦境は、物事を変えていくための数少ない好機(a good opportunity for reforming systems)です。諸行無常の世において、先の大戦後に戦勝国が構築し維持してきた世界秩序(world order)が、いつまでも変わらないとは限らない。僕は、そう思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則