世界的に名の通った格付会社(credit rating agency)というものが、どれほど、いい加減で無責任なものであるかは、そんなに昔のことではないサブプライム住宅ローン禍(Subprime mortgage crisis)を、思い出していただければ、すんなりと、ご理解していただけると、思います。
なに食わぬ顔をして、ジャンクボンド(junk bond、危険極まりない債権)を、優良な債権であるかのように評価して、米国の住宅バブルを先導し、想定通りの時期に、サブプライム住宅ローンの債務不履行が頻発しても、もちろん、何ら責任をとらなかった。「差益を得るために、頻繁に売買を繰り返す」という投機、賭け事の世界は、それほど、私益と公益の均衡を常に考える一般社会とは、かけ離れた世界です。
日本国債の命運も、今のところ、悲しい哉、無責任極まりない格付会社大手のさじ加減に、委ねられています。日本国債、その中でも特に、赤字国債(=特例公債)にとって、1996(平成8)年度は、大きな節目の年度であったと思います。この年度以降、「借換国債の活用による、国債償還の、実質的な先送り」、つまり、請求書の次世代への丸投げが、強化され恒常化し、今に至っているからです。
返済期日が迫ってくる度に、他の貸金業者から借入をして返済するしか、返済する術のない者、つまり、返済能力の無い者に、いつまでも、お金を貸し続ける者は、いません。
もし、ノーベル賞受賞者(Nobel laureate)と同じくらい、もしくは、それ以上に、世界的に著名な、複数の経済学者や投資家が、明日、「日本政府には、既に、借入残高を現状のままで維持する能力さえ、無い。日本国債は、投資不適格(speculative grade)だ」と発言し、その情報が、英語で世界中に一斉配信されたら、どうなるか。日本の財相は、間髪を入れず、筋が通っていて、聴く者を納得させる発言を、英語でできるのか。
長くなりましたので、一旦、ここで切らせてください。
神奈川県茅ヶ崎市にて
佐藤 政則