もしも、「橋本龍太郎氏と小泉純一郎氏の、共通点と相違点を、それぞれ一つずつ挙げよ」と、問われたならば、僕は、次のように答えます。
政府にとって、赤字国債は、覚醒剤(stimulant drug)のようなものであり、赤字国債の残高を増やせば増やすほど、赤字国債への依存が進み、政府は、機能障害を起こし、遠からず、機能不全に陥る。赤字国債は、それほど、恐ろしいものである。ずっと、70兆円未満に抑えられていた赤字国債(=特例公債)の残高が、70兆円を超え、右肩上がりに増え始めた1996(平成8)年度以降において、このことを、充分、認識していた首相は、2人しかいない。僕は、そう思っています。橋本氏と小泉氏が、その2人。これが、両氏の共通点。
余談ですが、景気対策は、通常、いくつかの施策が並行して行われます。なので、景気対策のことを、英語では、よく、"stimulus pakage"と表現します。覚醒剤(stimulant drug)のような赤字国債を増発して調達した資金で、定額給付金などの景気刺激策(stimulus measure)を行うというのは、笑うに笑えないことです。
次は、相違点。橋本氏が、前内閣である村山富市内閣(蔵相は、武村正義氏)のときに成立した所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)に基づき、1997年4月1日に、粛々と、消費税率の引き上げを行ったのに対し、小泉氏は、「私の在任中は、消費税率を引き上げない」という、氏にしては、歯切れの悪い発言の通り、消費税率の引き上げを行わなかった。これが、両氏の相違点。
2009(平成21)年度において、それまで、90兆円を超えることがなかった、一般会計の歳出総額は、一気に100兆円を超え、以後ずっと、95兆円以上で推移しています。来週、来年度本予算の政府案が閣議決定されると思いますが、一般会計の歳出総額がいくらか、大変、気になっています。
この国の、2009年度以降の首相及び財相は、「未来永劫、借換国債が、円滑に発行できる」とでも、思われているのでしょうか。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則