それにしても、近年、これほど、「大義名分が立たない」と申しましょうか、表向きの口実や言い訳さえ、成立していない空爆が、あったでしょうか。
先週金曜日の午前中、外出準備のために、インターネット上で情報収集をしているときに、たまたま、BBCなどのニュースサイトで、「Obama authorises Iraq air strikes if necessary」のような見出しを見付け、暗澹たる気持ちになりました。なので、しばらくは、社会保障(特に、公的年金の制度)について集中的に書かせていただこうと思っておりますが、今回は、この件に関して、書かせていただきます。
百歩譲って、仮に、「他国の領土を空爆することが、人道支援を行う上で、緊急やむを得ない軍事行動である」とするなら、一体、何を空爆するのか。イスラム過激派の軍事拠点を空爆するのか、空港を空爆するのか、軍需工場を空爆するのか。正規軍ではないイスラム過激派が拠点としている場所や、イスラム過激派の人員が寝泊まりしている場所が、一般市民が生活する区域から離れた場所にあるとは、考えにくいです。
また、「直ちに人道支援が必要な人々を支援するためには、地上部隊が不可欠である」ことは、言うまでもありません。地上部隊を投入せずに、米軍輸送機で緊急支援物資を投下するだけでは、イスラム過激派に、生活物資を贈与しているようなものです。冒頭で、「言い訳さえ、成立していない」と申し上げたのは、そのためです。
一民間企業が発表している情報を、どれくらい鵜呑みにするか、という問題もございますが、情報元がBP社である「世界の原油確認埋蔵量、生産量、可採年数」に拠れば、中東主要国の原油確認可採埋蔵量の世界シェア(2012年末現在)は、
サウジアラビア 15.9%
イラン 9.4%
イラク 9.0%
クウェート 6.1%
アラブ首長国連邦 5.9%
隣接する、この5か国だけで、原油確認可採埋蔵量の世界シェアは、約46%です。エネルギー資源の争奪戦は、激化する一方です。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則