『なにごとのおはしますかは知らねども
かたじけなさに涙こぼるる』 西行(さいぎょう)
拙訳
(伊勢の神宮に)どんな御方がいらっしゃるのか、私にはよく分かりませんが、かたじけなくて、ただただ、涙がこぼれ落ちます
今年の3月に、三重県伊勢市を訪れ、伊勢の神宮に参拝いたしました。てっきり、当ブログにおいて、既に、冒頭の歌、俗名が佐藤義清(さとう・のりきよ)である平安末期の歌人、西行(さいぎょう)の歌を、ご紹介させていただいていたような気でおりました。確認したら、友人宛の電子メールで、採り上げたのみ。勘違いでした。西行には、次のような歌も、ございます。
『なにごとも変はりのみゆく世の中に
おなじかげにて澄める月かな』 西行
拙訳
無常の世にあって、月は、いにしえより変わらぬ光で、澄んでいるよ
無常の世、生々流転の世にあって、いや、そういう世にあるからこそ、人は、長く変わらぬものに、心惹かれるのでしょうか。
厚生労働省のウェブサイトによると、海外戦没者の概数は240万人で、そのおよそ半分、約113万柱の御霊に関しては、未だ、ご遺骨の収容がなされていないとのこと(平成26年3月31日現在)。極暑の地、極寒の地で命尽き、未だ、ご遺骨の収容がなされず、空調も何もない所で待っておられる御霊のことを思えば、南関東にいて、暑いだの寒いだのと、不平不満を並べることは、贅沢なことかもしれません。
先人が感じた暑さを感じ、先人が愛でた月を眺む。そういう心の余裕を持って、ブログ投稿をしていければと、思っております。どうぞ、よろしくお願いします。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則