なぜ、憲法を改正することが、国民の生命と財産を守る上で最重要、最優先の課題なのか。先に要点を申し上げれば、占領時に制定されたものだから、早急に改正すべきなのではなくて、占領時向けに制定されたものだから、早急に改正すべきであると、僕は考えています。
法律は、常に、その時その時の現状に合わせて、制定されます。そして、状況が変わる度に、新しい現状に合わせて、改正されていきます。「状況が変化しても、法律を改正すべきでない」と主張される人は、あまりおられないのではないでしょうか。
占領時において、占領時向けの憲法、占領時用の憲法が、制定され施行されることは、至極当然のことです。占領政策と整合するように制定された憲法を、金科玉条だと思い、「一字一句、変えないぞ」と思い込むことが、どれほど、国益を損ね、国民の生命と財産を危険にさらしてきたか。
直近の69年間、国際社会は、ソ連、ロシアによる千島列島の不法占拠を放置し続けていますが、千島列島は、直近の62年間、南極大陸がそうであるように、どの国にも帰属していません。従って、サンフランシスコ条約が発効し、日本が千島列島自体に対するすべての権利を放棄した後も、日本の漁船が千島列島の近海で操業することは可能であり、日本は、69年間、漁業上の損害を被り続けています。
また、日本国民が、国内外において拉致され、朝鮮半島のどこかで軟禁されています。工作船の往来を許し、工作員の密入国、密出国を許してきました。領土、領海、領空が侵されても、追尾し、拡声器や通信機器を使って移動を促し、後日、当該国の駐日大使を外務省に呼んで口頭で抗議するという、お決まりの対応を、数限りないほど繰り返してきました。
日本国憲法第9条、特にその第2項が、どれほど、日本の国益を損ね、日本国民の生命と財産を危険にさらしてきたか。そして、東アジアにおける力の均衡(balance of power)を不安定なものにし、武力衝突の可能性を高めているか。
「日本には9条があるから、武力衝突が回避され、日本は平和です」などと思っている人は、まず、「人類の社会は、善人だけで構成されている訳ではない」ことに気付いていただきたいと、思います。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則