投資、投機に充てられるお金だけが増えていけば | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 孫正義氏は、2012年3月末時点で、ソフトバンク株式会社の発行済株式総数の約21%(約231,704,000株を保有する筆頭株主であり、ソフトバンク株式会社の直近の年間1株当たり配当金は、40円である。単純に、年間1株当たり配当金と、氏の保有する株式の数を掛け算すると、約93億円になる。

 柳井正氏は、2012年8月末時点で、株式会社ファーストリテイリングの発行済株式総数の約22%22,987,284株を保有する筆頭株主であり、株式会社ファーストリテイリングの直近の年間1株当たり配当金は、260円である。単純に、年間1株当たり配当金と、氏の保有する株式の数を掛け算すると、約60億円になる。
柳井氏一族(株式ファーストリテイリングの大株主上位10位に入る者で、柳井姓の者)が保有する株式の数、34,877,540株で計算すれば、掛け算の答えは、約91億円なる。

 両氏は共に、一角の人物で、かつ、著名な人物なので、敢えて個人名を挙げさせていただいた。両氏の現行法制に基づく正当な経済活動を揶揄する意図は、全くない。

 民間のシンクタンクなどの発表では、日本の個人金融資産は、1400兆円あるとも、1500兆円あるとも、言われている。小資産家の資産を中資産家が物にし、中資産家の資産を大資産家が物にして、個人金融資産の偏在化が、加速度的に進んでいる。

 一人の人間が、1年間で93億円の配当金を得ても、1年間で10億円の新築家屋を9戸買う訳ではないし、1年間で1億円の自動車を93台買う訳でもないし、1年間で1000万円の腕時計を930本買う訳でもない。93億円の大半は、再度、投資、投機に回されるだけであり、一般事業会社の売上げを押し上げることは、ない。

 加速度的に進む個人金融資産の偏在化を、そのままにして、いくら金融を緩和しても、いくら経済成長を達成しても、投資、投機に充てられるお金が増えるだけであり、多くの国民の暮らし向きは、悪くなるばかりである。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則