巧みな話術や仕草などで、観衆を笑いに誘うことを生業とされている方々が居られる。その生業は、単に何かに失敗して笑われるのと、少し似ているように見えるが、本質的には、全く別のものである。
この期に及んで、世襲禁止などと叫んでいる政治家が居られる。最初、てっきり冗談かと思ったが、どうやら落ちは無く、真顔でおっしゃっているようだ。
世襲によって得た身分(例えば、皇族や華族)に基づき議員の地位を得た者を世襲議員と呼ぶならば、たしかに貴族院には世襲議員が居られたが、参議院と衆議院には、世襲議員は居られないはずである。
以前、「弁護士の子が弁護士になったら、その人は世襲弁護士か」と書かせていただいた。これで、世襲禁止とおっしゃる方にご理解をいただけないのなら、「先代のジョージ H.W. ブッシュ大統領の子であるジョージ W. ブッシュ氏は、世襲議員ならぬ世襲大統領なのか」と申し上げても、結果は同じだろうか。
「私も、内閣総理大臣の子として生まれていたら、今頃は・・・」と思うのは、ねたみ、そねみの類いである。出自によって損や得が出ないように、司法試験があり、選挙がある。
岡山4区の橋本がく氏も、神奈川11区の小泉進次郎氏も、もちろん、成年被後見人や「禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」(公職選挙法11条1項)などに該当しない日本国民だから、有している被選挙権を行使して、何の問題も無い。
総辞職が間近だが、時の内閣総理大臣が、出自による就職差別を助長するような発言をするのは、如何なものか。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則