はらう。漢字で書けば、「払う」と「祓う」がある。祓うは、大辞泉によれば、神に祈って罪やけがれ、災いなどを除き去ることだが、払うと祓うは、語源は同じだと言われている。
漢字の訓読みは、基本的には、漢字が伝来される前から日本で使われていた日本固有の言葉、和語であることを考えれば、おそらく、両者の語源は同じだろう。
英単語の「pay」と「pacify」も、語源は近い。payの語義は、「金銭、注意、敬意などを払う」の「払う」だったり、自動詞で「採算がとれる」だったりする。pacifyの語義は、「平和な状態に、穏やかな状態にする」である。因みに、太平洋(太平の海原)、the Pacific Oceanのpacificは、その形容詞形である。
どちらの語も、パックスアメリカーナ(米国によって維持される平和、米国にとっての"我が世の春")などのパックス(pax=平和)を語源としていて、payは、何がしかを支払うことによって、緊張状態を緩和し収支を合わせ、平和な状態にすることである。
言葉遊びのようになってしまったが、通貨とは何かということを、じっくりと考えたくて、長々と書かせていただいた。
私も、子供のころは、「お金がもっとあれば、今よりも良い生活ができて楽しいに違いない」と思っていたが、今は、「お金があれば解決する問題は、お金が足りないことに起因する問題だけである。なので、お金が足りないときに、お金が入ってくれば重宝するが、お金が足りないことに起因する問題は、人生においてぶつかる全ての問題のうちのほんの一部分に過ぎない」と、思っている。
通貨は、社会の構成員が、「分業することにより協業する」ことによって、暮らしやすい社会を作るための公器である。制限なく私欲を追求するための道具では、決してない。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則