ことの軽重に関わらず、どんなことでも、抽象的な目標だけでなく、具体的な目標も定めなければ、その実現に向かって進むことは難しい。
過日、目指すべき国の在り方として、かなり抽象的に、「かまどが賑わい、文芸が興隆し、国民同士の連帯感が保たれた国」と、書かせていただいた。その実現のために、具体的に何をするべきか。政策とは、常に、具体策のことである。
赤字国債(特例公債)の発行残高が、雪だるま式に膨れ上がり、財政健全化の必要性が叫ばれ始めてから、既に、かなりの年月が経っている。
多くの国民が、「昨年より今年、今年より来年のほう、生活が苦しくなるのではないか」と、不安を感じるようになってから、既に、かなりの年月が経っている。
一般会計税収の名目GDPに対する比率が、低下し続けていることは、重大な問題だと、私は考えている。移ろいやすい現世は、複雑系そのものである。そういう現世において、人口は増減するものだし、生産量も物価もGDPも、増減するものだ。だからこそ、私は、比を見るようにしている。
1990年度において13.3%だった、一般会計税収の名目GDPに対する比率は、現在、8%台まで落ち込んで、下げ止まったと言い切れない状態である。赤字国債の発行残高を、約30年かけてゼロにするために、その目標値を16%にすべきであると、私は申し上げてきた。
この国の現在の税法は、デフレを克服すれば、自動的に一般会計税収が増えるような構造に、なっていない。このことに、もっと注目すべきではないだろうか。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則