需要の先食いという、負のアナウンスメント効果 | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 「需要の先食い」と呼ばれる社会的現象がある。例えば、たばこが値上げされることになると、その直前に、多くの喫煙者が、何か月分ものたばこを買い溜めする。その結果、町のたばこ店の売り上げは、値上げ直前に激増し、値上げ後、激減する。

 たばこの需要自体が、増えた訳ではないので、需要を先食いすれば、後日、必ず、先食いした分が、調整される。同様のことは、やれ、エコカー補助金だ、やれ、家電エコポイントだと言って、たばこ以外の業界でも、行われた。

 テレビ受像機に至っては、地上アナログ放送と地上デジタル放送を併存させても、別段の問題がないにも関わらず、壊れていない古いテレビを無用の物とし新しいテレビを売るために、強制的にアナログの地上波を停波させ、官民を挙げて、新しいテレビの購入を煽った。
これでもかと言うほど、需要の先食いをした結果、大手家電メーカーのテレビ事業は、どうなったのか。

 「どうも、十数か月後に、消費税率が引き上げられるらしい」という話を聞けば、人は、その情報を織り込んで、行動する。たばこ値上げの情報を聞いて、何か月分ものたばこを買い溜めする喫煙者と、同様である。かくして、消費税率の引き上げ直前に、大規模な「需要の先食い」が起こる。

 消費税率引き上げの周知期間、準備期間を設ければ設けるほど、「需要の先食い」が起こる。需要が先食いされ尽くし、消費税率が引き上げられると、何が起こるだろうか。
シャープ、ソニー、パナソニック(あいうえお順)の窮状を、「対岸の火事」だと言い切れる人は、そう多くないと、私は思っている。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則