学生さんには、定期的に、試験期間というものがある。逆に言えば、その短い試験期間以外の期間は全て、試験がない期間である。
通常、大人は、常に、試されている。別段、試験と呼ばれるものがなくても、様々な意味で、試されている。課長という職位に就いている者であれば、その職位に就く者として相応しいかどうか、常に試されている。その職位に就く者として相応しくなければ、いつでも辞めさせられる。それが、大人の世界である。
政治の世界においても、同様である。首相が、首相職に就く者として相応しくなければ、衆議院の判断で、辞めさせられる。憲法69条に書かれている、衆議院での内閣不信任決議案可決、もしくは、信任決議案否決は、首相職に就く者として相応しくない首相を辞めさせる際の「適正手続き(due process of law)」である。
現在、479名の衆議院議員で構成されている衆議院が、議会の一院として相応しくなければ、首相ただ一人の判断で、解散させられる。このことは、憲法7条及び69条で言及されている。首相による衆議院解散は、議会の一院として相応しくない衆議院を解散させる際の「適正手続き」である。
衆議院議員が、首相に対し、衆議院解散を要求することは、20-0で負けている草野球チームの選手が、試合中、審判に対し、この試合の無効、及び、チーム分けをやり直した上での再試合を、要求することに、似ている。
「適正手続き」を理解せず、思うがままに、「衆議院を解散しろ」と叫ぶ衆議院議員は、中学の公民の教科書を読み、権力分立(separation of powers)とは何かを学んで上で、議員活動をしていただきたい。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則