愛媛県松山市の市街地を走る、伊予鉄道の市内電車。その勝山町停留所の近くに、県立松山東高校がある。正岡子規が学び、後に、夏目漱石が赴任した学校である。
その学校の校庭のすぐそばに、2年前の7月7日の明け方に他界した母の生家があり、私は、幼少の頃、「子規や漱石は、この学校の人だよ」と聞かされていたので、長く、「両文人は、愛媛県限定の"地方の有名人"だ」と思い違いをし、"全国区の人"だと思っていなかった。
命は儚い。人の一生は、避らぬ別れの連続であり、臆病者の私は、ほどき易いように結んでおくことも、人間関係の要諦の一つだと、思っている。互いに相手を思いやることと、互いに相手に依存することは、違う。「依存し過ぎていないだろうか」と、つい、思ってしまう。
晩年の漱石が理想にしたと言われる、則天去私の境地。理想や理念を見失ってはならないが、人には、煩悩もある。理念もあるが煩悩もある人間という生き物にとって、落としどころは、どこか。
国会議員の先生方、特に与党の方は、きょうからの数日だけでも、職を失いたくないという煩悩だけは棚上げして、覚悟して議員活動をしていただきたい。
兵庫県姫路市にて
佐藤 政則