現在、米国海軍横須賀基地がある場所は、幕末に、フランス人のヴェルニー技師の指導の下、横須賀製鉄所が建設され、その後、大日本帝国海軍の鎮守府が置かれた場所である。
「鉄は国家なり」という言葉がある。海洋を制する者が、覇権を得た時代がある。海軍力の源泉は艦船であり、強力な艦船を建造するには、良質な鉄製品が欠かせない。蛇足だが、私は古い人間なので、自動車全盛の時代である今でも、「鉄道も国家なり」と、思っている。
別段、軍事的な意味で、そう思っている訳ではない。後の世代の人々や他国の人々に、ツケをばんばん回すことなく、国民が安心して生きて、子を産み育て、死に行くことができる国家を作り維持するためには、鉄道と自動車のバランスを、今一度考え直すべきだ。そういう意味で、「鉄道も国家なり」と、思っている。
間もなく、7月1日から、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)が、施行される。「鉄は国家なり」には、国家百年の大計を考える大局観が感じられるが、この再生可能エネルギー特措法は、どうだろうか。
以前、この法律を指して、"馬鹿げた法案"とまで、書かせていただいた。太陽光などで発電した電力を、強制的に、既存電力会社に高値で買い取らせる。高値で買い取る、その費用は、そっくりそのまま、利用者に転嫁される。それで、技術革新が進むだろうか。
技術革新を行う国は、前へ進む。日本の国力を相対的に低下させる法案でも、自分の保有金融資産を増やすことに異常なほど固執する経営者が、旗を振れば、通ってしまう。私は、子や孫の世代の者に対して、申し訳ないと思うばかりです。
神奈川県藤沢市にて
佐藤 政則