世の中には、水を得た魚のよう、声を弾ませ目を輝かせて、政界再編を唱える人がいる。同様に意気揚々と、新党を唱える人もいる。
そういう張り上げた声を聞く度に、私は、「どう再編しようと、どうチーム分けしようと、草野球チームが、職業野球のチームと互角に戦えるチームになることはない」と、心密かに思っている。
それぞれの藩が、それぞれの領地を、独自に統治していたら、欧米列強の属国、もしくは植民地にされてしまう。だから、藩を廃止して、日本国という近代国家として、一つにまとまろう。廃藩置県とは、そういうことだろう。
そもそも、近代国家は、村落共同体とは違い、他人の集合体である。村落共同体では、あこぎなことをすれば、村に居づらくなる。だから、事細かく、法令を整備する必要はない。近代国家は、他人の集合体だから、あこぎなことを平気でする人が出てくる。だから、法令を整備する必要がある。
現在の、都道府県、そして市町村という区割りにおいて、あこぎなことをする人がいる。だから、その区割りの仕方を変更すべきだと主張される人がいる。つまり、「やれ、道州制だ、やれ、府市統合だ」と、おっしゃる人がいる。他人の集合体である近代国家において、あこぎなことを平気でする人の心根は、行政単位を変更しても、良くならない。
政界再編を唱える人や、道州制を唱える人は、今、我々が直面している問題の主な原因は何なのかを、真摯に分析した上で、そうおっしゃっているのだろうか。単に、問題を解決したいという情熱だけで、そうおっしゃっているのなら、無責任な行為と言わざるを得ない。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則