年度末である。昨年度末はまだ、「次年度の公債特例法を、次年度の本予算成立と同時かその前に、成立させなければならないか否か」が、よく話題として取り上げられていたが、本年度末は、どうだろう。ほとんど、議論されていないように思う。私がそう思うのは、単に、罹災後、拙宅にテレビ受像機がなく、議論されている様子を見る機会がないせいなのだろうか。
力の均衡(balance of power)という言葉は、軍事力に関して使われることが多いが、別段、軍事用語ではない。一般的に官僚と呼ばれる人たち、霞が関の一般職の国家公務員が暴走しないように、首相を国会議員の中から国会の議決で指名し、その首相が国務大臣を任命する。また、閣法と呼ばれる内閣が提出する法律案も、財務省が提出する予算も、国会で可決されなければ、絶対に成立しない。
財政法という法律がある。戦後の占領下において成立した法律で、ざっくり言えば、予算作成と予算執行と決算報告のやり方を定めた法律である。比較的しっかりした法律であると、私は思っている。が、いかんせん、あまり人気がない法律なのか、この法律をじっくり読んでおられる国会議員は、多くないように思う。
財政法4条1項の最初の文は、平たく言い直せば、「借金をして調達したお金以外の収入を、支出の財源としなければならない」になる。「財源とする」は、誰がどう読んでも、「そういう予算を成立させる」という意味である。現に、自民党政権においては、公債特例法を、本予算と同時もしくは同時期に、成立させてきた。
「財政法を読み込んでいる議員なんて、民主党にはいないから、何やっても大丈夫さ」、もし、そう思う財務官僚がいるとすれば、そう思うこと自体が、既に官僚の暴走である。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則