貿易摩擦と、自由貿易各国の最低賃金格差と、TPP | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 もし、鳥取県の地域別最低賃金が1時間あたり132円で、その他の都道府県の最低賃金が737円だったら、どうなるだろうか。

 今年は、いわゆるニクソンショックから、ちょうど40年めなので、当ブログにおいては、ニクソンショック、そして、その後行われた変動相場制への移行について、何度も触れさせていただいた。
国内産の物品と同等の品質、性能を備え、かつ価格が安い物品が、外国から大量に入ってくる。産業革命以降、世界各地で繰り返し起きてきたことである。貿易摩擦などと、呼ばれることもある。

 各国の最低賃金が、あまりにも不揃いのまま、自由貿易を振興すれば、当然の帰結として、貿易摩擦が起こる。ニクソンショック直後の12月に、ドルと円の交換比率は、1ドル360円から308円に改定され、その後、1973年には、変動相場制に移行された。

 それらは、貿易摩擦の解決手段として、行われたはずだけれど、貿易摩擦の解決手段として、適切だったと言えるだろうか。もし、自由貿易を振興するのであれば、自由貿易に参加する各国の最低賃金を、ある程度、揃えなければ、公平な国際競争とは呼べない。

 TPPだか何だか、詳しいことは知らないが、私が、自宅アパートの火災でバタバタしている間に、多国間の関税自主権放棄協定への参加に向けて、日本も、各国と協議を始めることを表明したとのことである。自由貿易各国に対し関税自主権を放棄して欲しいと考えているのは、農産物や工業製品に限らず、各貿易物品の最大手の輸出企業の大株主である。

 貿易物品の種類はたくさんあるが、各貿易物品の最大手の輸出企業の大株主は、辿っていけば、同一の投資家に行き着くのではないだろうか。
TPPという名の多国間の関税自主権放棄協定に参加するということは、そういうことである。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則