最低賃金が不揃いであることに、義はあるのか | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 毎年、秋になると、労働基準法から分離された最低賃金法に基づいて、最低賃金が改定される。駅などで、改定された地域別最低賃金をお知らせするポスターを、ご覧になった方も、多いと思う。

 この国は人口密度が高く、どちらかと言うと、人口の割りに国土が狭いと言われているが、47もの地方最低賃金審議会が組織され、調査審議を行い、各都道府県労働局長に対し答申をして、最低賃金が改定される。
その結果と言うべきか、地域別最低賃金は、645円(岩手県、高知県、沖縄県)から837円(東京都)まで、不揃いである。

 最低賃金法9条2項に、「地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない」とあるので、当然と言えば当然であるけれど、私は、昔から、最低賃金が一律でないのは不合理であると、考えている。

 「物価が安いから、賃金は、低くてもいいだろう」というのは、賃金を支払う者の意見である、大義ではない。
都会は、利便性が高いけれど、物価が高い。
田舎は、利便性が低いけれど、物価が安い。
トントンである。トントンであるにもかかわらず、わざわざ、都会の最低賃金を高くすれば、どうなるか。

 物価の高い安いは、気にしなくていいことになる。結果、「都会は利便性が高いところ、田舎は利便性が低いところ」ということになる。これでは、法律によって、過疎や過密を促進し維持していることにならないだろうか。
世界規模で考えれば、最低賃金は、もっと不揃いである。現在の貿易の仕組みは公正なものだとは、私は考えていない。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則