大王製紙前会長逮捕の報を聞いて、思い出したことなど | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 私の両親は共に、愛媛県松山市生まれなので、私が子供のころは、年に一度くらいの頻度で、姫路市から松山市に、自家用車で帰省旅行をしていた。当時、四国には高速道路がなく、岡山県玉野市の宇野から宇高フェリーに乗り、高松に着けば、後は、ひたすら国道11号線を西進して、松山を目指す。

 その道中の四国中央市(旧・川之江市)には、製紙工場群の中を国道11号線が走り抜けているような感じの場所があり、その辺りを通り過ぎるときは、夏でも、車の窓を閉め切っていた。今はどうなのか知らないが、当時は、製紙工場特有のにおいが、11号線を通り過ぎる車の中にまで、飛び込んできた。その製紙工場群とは、大王製紙株式会社の本社工場のことである。

 私が生まれ育った姫路市西部の沿岸部は、製鉄工場の企業城下町だった。企業城下町に住む者にとって、多少、騒音やにおいが激しくても、その企業が生産活動を活発に行っていることは、概ね好ましいことである。

 その大王製紙の前会長が、会社法960条(取締役等の特別背任罪)違反の容疑で、東京地検特捜部によって逮捕された。前会長が、子会社などから借り入れて、私的に流用した金銭の金額は、約100億円とのことである。
ちなみに、米国の経済誌フォーブズによれば、ウォーレン・バフェット氏の個人資産の金額は、約500億ドル(=約4兆円)、孫正義氏のそれは、約81億ドル(=約6400億円)とのことである。

 たった一人の人間が、4兆円分の株式を通じて、多くの会社を実質的に支配する。そして、それらの会社の役員と従業員は、「株主価値の最大化」を命じられ、ひたすら、大株主の顔色をうかがいながら、「株主価値の最大化」を目指して働く。このまま、株主至上主義の経済を続けるべきなのだろうか。

 前会長の「売り家と唐様で書く三代目」ぶりは、確かに大きな問題であるが、前会長逮捕の報を聞いて、私は、なぜか、川之江の製紙工場のにおいを思い出した。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則