「続投しないしないと言い続けているけれど、もっと強く頼めば、首を縦に振るのではないか」、5年前の夏は、そうとも言われていた。5年前の夏、依然、支持率が高かった小泉純一郎氏の続投を望む声が、小泉チルドレンと呼ばれていた国会議員などから上がっていた。
あれから5年が経って、辞めろ辞めろと言われても辞めない首相が、あろうことか、退陣条件というのを挙げて、辞めて欲しかったら○○という法案を通せと、他の国会議員を脅しているそうである。
包丁は、食材を料理するための道具であるが、時に、その包丁を、他人の首元に突きつけて、包丁を突きつけるのを止めて欲しかったら○○しろと、周りの人を脅す人がいる。それと、どう違うのか。
「退陣するので予算を通して欲しい」というのと、一見すると、少し似ているように見えるかもしれないが、全く違う。「退陣するので予算を通して欲しい」は、言わば、嘆願書である。ひたすら、お願いするだけである。「辞めて欲しかったら、予算を通せ」というのは、脅しである。
民主党という組織は、首相職という地位を脅しの道具にする者が、党代表を務めている。民主党という組織に、政権を担当する能力は、無い。借金をするには、信用が必要である。今もって公債特例法が通っていないのは、民主党の政権に、借金をするための信用力がないからである。
たとえば、財務省所管の国債整理基金特別会計の本年度の当初の歳入額は206兆円、歳出額は194兆円、その差額は12兆円である。補正後も、差額は変わらない(クリック後、16-17ページを参照)。この12兆円を、一般会計に繰り入れる補正予算を組むことに反対する党は、あるだろうか。脅されるがまま焦って、菅直人内閣において、公債特例法案を通すべきではない。
今、国会が最優先ですべきは、内閣不信任決議案の可決、もしくは、信任案の否決だと思う。
神奈川県にて
佐藤 政則