原子力発電は、本当に、費用効率が高く割安なのか | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 学生の頃、授業が終わって帰宅しようと、京阪電車に乗っていて、電車が枚方公園駅に停車したときだった。平日の午後、ラッシュ時でもないのに、駅のプラットフォームが、びっしりと、喪服を着た群衆で埋め尽くされていて、一瞬、何事かと驚いた。後年、「史上最大の社葬」と呼ばれるようになった、松下幸之助氏の社葬が、同駅近くにあるパナソニックアリーナ(旧称、松下電器体育館)で、執り行われた直後だった。
昭和天皇が崩御され、元号が昭和から平成に変わった年のことである。

 今では、有って当たり前のようになっている、様々な家電製品も、普及したのは、戦後である。電気は、光源になり、熱源になり、動力源になる。そして、電子機器の普及により、莫大な量の情報を取り扱うこともできるようになった。戦後、急激に増え続ける電力需要に対応するために、電力会社は、電源を多様化させながら、販売電力量を増やしてきた。

 東電のウェブサイト(横軸の目盛りが均一でないことに、注意して下さい)によると、東電の販売電力量は、東電が設立された1951年度は73億kWh、そのあと増え続け、2000年度に2800億kWhを超え、以後、ほぼ横ばいである。その間、主要な電源(電源別の構成比が最も高い電源)も、変化してきた。東電設立当初は水力、その後、石炭火力、石油火力、LNG・LPG火力の順に、変化してきた。
東電の、2010年3月時点での経営計画(クリック後、24ページ目の下部の図表を参照)によれば、現在、原子力の電源別構成比は28%前後であるが、2019年度において、その値を48%に引き上げる計画だった。

 主要な電源が、変化してきたのは、安定的に電力を供給できて、しかも、費用効率が高い電源を求めてのことだろう。原子力発電は、本当に、費用効率が高いのか。先月、いくつかの電力会社の株主総会で、金儲けにご熱心であるはずの株主が、わざわざ、原発からの撤退を定款に盛り込むことを求める株主提案を、した。

 原子力発電は費用効率が高い、割安であると、言われ続けてきた。本当に割安なのだろうか。税金が、どう使われて、原子力発電が成り立っているのか、そういうことを考慮に入れて、改めて検討すべきである。


神奈川県にて
佐藤 政則