現在、月別の自殺者数の暫定値は、毎月、警察庁のサイトにおいて、公表されている。自殺を防ぐという観点からすると、すぐに公表しないと意味がないということで、様々な方々の働きかけにより、翌月に、暫定値が公表されるようになった。
先週、公表された5月分の数字を見てみると、3329人。サイト上で見ることができた、2008(平成20)年1月以降のデータの中では、最も人数が多かった。
先が見通せないことが、どれほど、人の活力、生きていく力を奪うのか。アウシュビッツの例を挙げなくても、衣食住で困り果てたことがある方なら、誰でも分かることだ。多くの国会議員の先生方は、そういう経験とは一切無縁の生活を、されてきたのだろうか。
金銭的に満ち足りた生活をしていても、自殺をする方は、おられる。先が見通せないことは、それほど、生きていく力を奪う。
3月11日から、100日以上が経過した。被災された方々に、「現状は悲惨だけれど、国会議員の先生方が、なんとか先が見通せるようにしてくれたので、がんばれそうだ」と、心の中で思っていただけるような仕事を、国会議員721名は、してきたか。私を含む日本国民は、国会議員がそういう仕事ができるように、世論を盛り上げてきたか。
みうらじゅん氏がおっしゃるように、「生まれ落ちた時から、既に余生が始まっている」と、今の私は思っている。既に余生なので、先が見通せなくても、風が吹いたら風に流されていく、ただそれだけの人生だと思っている。が、それも、日常生活が保たれていてのことである。被災し、日常生活を失えば、達観など、できるはずはない。
自殺者数が増えないことを、ただただ祈るばかりである。
神奈川県にて
佐藤 政則