納税者に現金を配る政策は、納税者を愚弄する政策である | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 日本の義務教育においては、納税者意識を高めるための教育を、あえて行わないようにしていると、私は思っている。税金に関しては、「納税することが、国民の三大義務のうちの一つであること」と、税金の体系(国税と地方税、直接税と間接税)を教えるばかりである。

 この国で生活する者は皆、中学校を卒業すれば、所得税の確定申告書を書くことができるように、教育する。そして、所得税の源泉徴収の制度を廃止し、皆が、自身の誕生月からの1年間を、自身の会計年度として、確定申告を行うようにするだけで、この国で生活する者の納税者意識は、格段に高くなると思うが、財務省にしてみれば、納税者意識など、高くなって欲しくないのだろう。

 児童手当子ども手当など、所得を補償する訳でもないのに、納税者に現金を配る政策は、納税者を愚弄する政策である。納税者が、所得税を国庫に納める仕組みは、出来上がっている。また、各納税者の生活状況に応じて、課税所得額を控除したり、所得税額を控除したりする仕組みも、出来上がっている。にも関わらず、納税者に、現金を配る政策を実施する。

 課税をし、課税額を徴収する仕組みを運営するには、それなりの手間と費用が掛かるが、新たに、納税者に現金を配る仕組みを運営するにも、それなりの手間と費用が掛かる。そういう手間と費用を掛けて、国庫に、原則として現金で納税をする納税者に、現金を配る。
「現金を配る政策を行うよ」と主張すれば、選挙の投票日に投票してくれるだろう。たいていの人は、足し算はできても、引き算は苦手だろう。そういう考え自体が、納税者を愚弄していると、申し上げている。

 だから、私は、一貫して、児童手当と子ども手当に反対している。どうしても児童手当や子ども手当を配りたいのなら、所得税の税額控除で対処するのが、納税者を愚弄しないやり方である。


神奈川県にて
佐藤 政則