この国は、その政府が借金まみれである国である。道徳が廃れた国である。なるべく楽をして、我が手元に金銭を集め、我と我が家族が、快適で安定した生活をするためなら、今の他人や将来の他人に、ツケを回して平気な人が多く住んでいる国である。小選挙区制が始まって以降、おおよそ政治的信念や政治的知識のない政治家が、増え続けている国である。この国を守るために働く米国籍の人を、鼻つまみ者のような扱いをし、「米軍基地をかかえる"負担"を、沖縄だけでなく、みんなで分かち合いましょう」などと、時の内閣総理大臣が、平気で発言する国である。この国に対する不満を挙げていけば、切りがない。
にもかかわらず、この国の国民が、今、直面している危機に対応するために、政府が、「さとうさん、一つお願いがあります。今般の危機に対応するために、あなたの命を、しばらく政府に預けてくれませんか」と、通知してくるならば、私は、引き受ける。もちろん、人様のお役に立つために必要な、専門知識や専門技術、強靭な精神と体を持っていない私が、指名されることはないけれど。
可愛げがない子供は、たいてい、可愛がられない。物心が付いて以降ずっと、疑心暗鬼で、不安で押しつぶされながら生きてたような人間に対しても、法律は、差別しない。あいつは可愛げがないから、こうする。こいつは可愛げがあるから、あーする。法律は、そういうことは、しない。質がいい法律が、適正に運営されるかどうかは、話が別だけれど、原則、法律、そして、それを作りそれに基づいて政治を行う近代国家は、そういう意味で、私にも、"優しく"してくれた。
現に、こういう私にさえ、告発をする権利を、保証してくれている。
だから、だめなこの国に住む国民が、危機に直面しているさなか、自身の非力を省みず、できる限りのことを行っている。
兵庫県姫路市にて
佐藤 政則