雪組公演 ベルサイユのばら-フェルゼン編- | 続アメマのおとしもの

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2024年8月31日~10月13日 東京宝塚劇場・雪組公演

●宝塚グランドロマン「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」 脚本・演出/植田紳爾 演出/谷正純

 

1974年の初演以来、累計観客動員数500万人を超える宝塚歌劇最大のヒット作として数々の伝説的な舞台を生み出してきた『ベルサイユのばら』。初演から50周年を迎える2024年、10年振りに宝塚大劇場の舞台に甦ります。少女漫画の歴史を塗り替え、時代や国境を越えて多くの人々から愛され続けるこの作品は、革命の火が燃え上がるフランスを舞台に、二組の恋人達の許されざる恋を描いた物語。

 

 

9月4日13時30分公演、1階5列目で観劇。

※ネタバレ注意。

当初は大劇場でイープラスの貸切を観る予定でしたが、都合が悪くなりチケプラトレードに出す羽目に。せっかく抱き合わせで見たくもない「ロミジュリ」を見て、12列目以内保証だったのに・・・と思っていたら、東京公演の5列目が友会で当選。最近は大劇場公演があまり当たらなく、別箱や東京が当たるのは不思議。まぁとにかく「ベルばら」だし、彩風咲奈のサヨナラ公演だし、観ておかないといけません。

 

オープニングはお馴染み「ご覧なさい」で始まりますが、プロローグが意外に短くてガッカリ。植田氏は再演の度にいろんな場面を加えたりしますが、今回は全体的にショーアップされた場面が多く、ガッツリ芝居の場面が少なくて、すぐに暗転やカーテンが閉まるし、植田手法の場面の入れ替えもあって、特に一幕はダイジェスト版を観ているようでした。二幕冒頭のロザリーとベルナールを中心とした市民のダンスも、なんだかフィナーレっぽくて場違いに感じました。さすがに二幕はバスティーユや牢獄~断頭台があるので、盛り上がりますがね。やはり昔のベルばらの方が原作に忠実で、登場人物の背景が見えていたように思います。今は「もう皆さん分かってるでしょ?」という脚本になってしまってます。

同じ植田作品でも「風と共に去りぬ」はそこまで大きな改編はされていないのに対し、「ベルばら」は原作の池田理代子氏の許諾が緩いのか、言い方は悪いけど変えたい放題(笑)。

そう思いながらも、お馴染みの主題歌や、名場面が出てくるとそれなりに感動はするんですよね。それに植田氏はフィナーレも毎回変えてくるので、そこが見どころでもあります。小池氏だと主題歌ソロ→ロケット→トップと娘役の群舞→男役の群舞→デュエダンというワンパターンですが、植田氏は御年91歳でここまでのフィナーレ構成を考えるのはスゴイなと思いますね。

特に今回は彩風咲奈サヨナラショーかと思うほど素敵な構成で、パレードでは意表を突く客席降りもあって、芝居場面ではなんやかんや不満はあったものの、このフィナーレで結局は感動してしまったんですよね。ていうか流石にスポンサー付きの公演となると、衣装も装置も桁違いに豪華。花組の時とエライ違いやな(笑)。

 

今回で退団となる彩風咲奈は、スウェーデンの伯爵のフェルゼン。

2013年に新人公演でフェルゼンを演じた時はまだまだ幼かったですが、もう今や立派な貴公子で貫禄抜群。トップ就任時から作品(特に芝居)に恵まれず、最後にしてようやく・・・という感じ。私個人的にはさほど好きなトップさんではなかったのですが、生粋の雪組っ子だし初舞台から見ているので、退団には感慨深いものがありました。特に宙組の一件での男前な発言で、世間もですがちょっと見る目が変わったと思います。さて今回のフェルゼンですが、ホントにカッコよかった。まさに彩風の集大成とも言えます。手の動き、歩き方、その佇まいに品があって、一幕ラストで客席を颯爽と走り抜けるカッコよさは半端なかった。以前は気になってた目も、最近はあまりしなくなってたしね。フィナーレではもう「素」の彩風咲奈で、退団者あるあるの清々しさがあって、泣きそうでした。

 

相手役夢白あやは、フランス王妃マリー・アントワネット。

初っ端の登場から、その華やかさに圧倒され、歌や所作にまだ気になる点はありましたが、彼女の度胸と美しさ、役を自分のモノにできる力で、立派なアントワネットになっていました。今の5組の娘1では彼女しかこの役ができないでしょうね。二幕ラストの牢獄では、フェルゼンへの想いの葛藤があるものの、断頭台での死を決意した凛々しさで階段を上っていく後姿に貫禄がありました。一転してフィナーレでの娘役としての可愛らしさはいいですね。

 

近衛隊隊長のオスカルを朝美絢

まさに男装の麗人で、やや高めの声が女性らしさを醸し出ていて、かつての涼風真世を彷彿させました。あーさのオスカルは力強さがあって、バスティーユでの戦闘のダンスはめちゃくちゃカッコよかった。叶うならトップ就任後に「オスカルとアンドレ編」をやって欲しいですね。ポスターで着てるピンクの衣裳って、どこで登場してた???

 

オスカルの幼馴染のアンドレを縣千

フェルゼンが主役の時は影が薄いアンドレですが、縣はなかなか健闘してました。歌も思ったより良かったと思います。橋での死闘は感動しましたもん。

 

専科陣をまとめて・・・。メルシー伯爵の汝鳥伶はさすがの存在感で、グスタフ三世の夏美ようは物足りない、貴婦人モンゼット侯爵夫人の万里柚美はまぁこんな感じかな。ブイエ将軍の悠真倫はもっともっと嫌な感じを出して欲しかったけど、今回の脚本ではそれが困難なのが残念。

 

近衛隊士官のジェローデルの諏訪さきは為所がない。オスカルと結婚する件がないと存在感が薄いです。

逆に美味しいのが新聞記者のベルナールの華世京

若手有望株で人気上昇中なだけに、目立つ役が付きました。

その妻ロザリーを今回で退団の野々花ひまり

ひまりちゃんらしい、優しさに溢れたロザリーで、フィナーレで銀橋を通った時には泣けました。

久々に復活した役のジャンヌに音彩唯

役的にはひまりちゃんと逆では?と思いましたが、はばまいちゃんもなかなかドスが効いてましたね。ただ脚本上の描かれ方が中途半端なのでちょっと残念。

 

 

 

見終わるとそれなりに感動はしたんですが、5月にOG公演の「ベルばら50」の方が、がっつり芝居してたんちゃうか?と思ってしまいましたね。

でも彩風咲奈が最後にして大作で名作に出会えてよかったと思います。