宙組公演 El Japon-イスパニアのサムライ- | 続アメマのおとしもの

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2019年11月15日~12月15日 宝塚大劇場・宙組公演

 

今年二巡目の宙組は、オリジナル作品の二本立て。話題性もないし、大野作品だからかチケットの売れ行きもイマイチ。私も大野拓史は苦手なんですよねぇ・・・知識のひけらかしと自己満足で終わることが多く、エンターテイメント性に欠けることが多いからです。昨年の「白鷺の城」なんて、ヒドカッタ。

今回は「海鳴りにもののふの詩が」「この恋は雲の涯まで」「望郷は海を越えて」など、植田紳爾や谷正純がよくやった、海外での日本人モノ。史実にフィクションも入れての作品。

 

12月10日11時公演、1階10列目で観劇(イープラス貸切公演)。

※ネタバレ注意。

●宝塚ミュージカル・ロマン「El Japon-イスパニアのサムライ-」 作・演出/大野拓史

 

スペイン南部の町コリア・デル・リオに「サムライの末裔」を自認する「ハポン(日本)」姓の人々がいる。なぜ遠い異国の地に日本の侍の伝説が残ったのか……。慶長遣欧使節団として派遣された仙台藩士を主人公に、その侍らしい心情や異文化との出会いを色濃く描きあげる、ヒロイックで快活な娯楽作品。

 

ポスター的には、ウエスタンのカウボーイものかと思いましたが、真風は日本人役。んで舞台はイスパニア(スペイン)。タイトルもどっちがサブタイなのか、よくわかりませんね。期待度が低く、前日に夜勤明けの夜に新喜劇のイベントにいったし、眠いのなんの・・・。これは爆睡モードかなと思ってましたが、意外と寝ずに見れまして、ハードルを下げた分、面白く見れました。まぁツッコミどころは多々ありますがね。

相変らず言葉の壁はないし、1時間35分で物語を纏めるにはご都合主義な点もありました。それにヒロインがあまり魅力的でないし、役を多くした分集団芝居が結構あって、スタークラスの生徒でも埋没しがちでした。当て書きしたからか、「異人たちのルネサンス」とキャラ設定が似通ったのも気になりました。

ただ谷正純のように、死体累々でないし、ハッピーエンドというのが後味が良かったです。

 

主演の真風涼帆は、伊達政宗の家臣である蒲田治道。

クールといえばカッコいいですが、見方を変えれば煮え切らん男(笑) いったいイスパニアで何がしたかったのか?ただカタリナを助けるだけに来たようにしか思えません。ビジュアルはカッコよかったですし、苦手な歌も丁寧に歌っていました。剣捌きも見事でしたね。ラストの照れたキスは日本人的で良かったです。

相手役星風まどかは、宿屋の女主人カタリナ。

「異人たち・・・」の役名がカテリーナ。似てますねぇ。婚礼前夜に夫を亡くし、喪服で過ごす陰気な女。こういう役はどうも似合わない。元気なまどかちゃんが見たいんですがね。治道をダンスに誘ったりする積極性は良かったです。

二番手芹香斗亜は、流れ者の剣士アレハンドロ。

最後の最後まで一体何者?治道をどうしたいねん?って引っ張ります。ただ引っ張りすぎた分、最後があっけない気がします。カタリナにちょっかいかけるとか、裏でいろいろ探ってるってところも見せないと、面白味がない。キキとしては、良くやってましたがね。

 

専科の英真なおきは、大農場主のドン・フェルナンド。

イヤなオッサンを熱演。こういうの昔は箙かおるとか上手かったんです。英真さんも人のいい役から、嫌味な役までできますが、結構何をやっても英真なおき的に感じる時があります。今回は良い方に出ました。ですがもっとイヤらしく、カタリナにモーションをかけてたり、奴隷をこき使うのを見せないと、芝居のメリハリがつきません。

三番手桜木みなとは、その息子のエリアス。

出ましたお得意のドラ息子(笑) ピッタリすぎて、違和感なし。もっとバカで傍若無人ぶりをだして欲しかったです。

組長寿つかさは、支倉常長。

「海鳴りに・・・」だと主人公。この作品ではオッサン役で、組長らしいまとめ役。

 

和賀一族の生き残り藤九郎を和希そら

和希らしい、ひねくれた元気もの。

その姉で藤乃を遥羽らら

楚々としたお姫様役で、なかなかキレイで似合っていました。

農場に売られた日本人奴隷のはるを、天彩峰里

治道に助けてもらったことで、剣術を覚えて強くなっていく女性。こっちの方がヒロインとして描いた方が、面白かったような気がします。

 

 

役柄はその生徒に合っているものが多いものの、イマイチ中途半端な書き方で、生かし切れていないように思いました。ですが、それなりに見れた作品だったので良かったと思います。