宙組公演 ファントム | 続アメマのおとしもの

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2004年5月14日~6月21日 宝塚大劇場・宙組公演
●三井住友VISAミュージカル「ファントム」 潤色・演出/中村一徳
 
宝塚歌劇90周年の目玉で、この年唯一の一本立て大作としてガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を題材とした「ファントム」を上演。トップ就任4年目の和央ようかがファントムを、相手役花總まりがクリスティーヌを演じます。
90周年記念企画の一環として各組二番手を他の組に特出させ、この宙組には星組の安蘭けい、専科からも樹里咲穂が出演しました。
 
 
5月20日15時公演、1階20列目で観劇。
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物語は仮面を被り地下で生きていかなければならない運命を背負い、苦渋に満ちた人生を送る怪人の心の葛藤を鮮明に浮かび上がらせ、悲劇の結末までをドラマティックに描き出します。
劇団四季では「オペラ座の怪人」がヒットし話題となりましたが、宝塚では「ファントム」その違いは??というのが気になりました。
 
主演が仮面を付けるのも宝塚では珍しいこと、以前にドラマシティで湖月わたるが「月夜歌聲」(記事はこちら)をやりましたが、大劇場では初めてかな?
 
主演和央ようかはファントム。
あまり怪人っぽく描かれていなくて人間性が前面に出ています。人を殺したりするものの、優しさもあってガラスのハートという凄く繊細な人物。
トップとして貫禄たっぷりの和央にとっては難役かなぁ?と思いましたが、複雑な心境を見事に表現。そして歌も伸びやかでいいですね。トップ就任当時のやや喉を締めたような歌唱が随分聞きやすくなりました。
オケボックスで指揮をして、銀橋に登場する演出はちょっと鳥肌が立ちましたね。
 
オペラ座の歌手を目指すクリスティーヌを花總まり
この作品のにとって、あるいはファントムにとって光や母のような存在であるこの役は花總ならお手の物。この時でトップになって10年目。少しこういう少女っぽい役が鼻につくなぁと思ってきたのも事実ですが、花總まりだから段々と役に引込まれてしまうのも事実。さすがだわ。  でも二幕でファントムに「仮面をはずして」と切々と唄い、ファントムが仮面を外したら「キャー!」って。それはないやろ(笑) そりゃぁファントム泣くがな。
 
オペラ座の前支配人で実はファントムの父親キャリエールを専科の樹里咲穂
ホント上手い。父親役というからにはファントムよりも20才以上は年上なので若い気はしますが、あの包容力と歌唱力、そして樹里自身が醸し出す温かさ、二幕ラスト近くで父親だと告白する「お前は私のもの」の銀橋での歌には涙。 でも冷静に考えたら、アンタ嫁ハンおるのに浮気して子供つくるから、こんなコトになるんやで(笑)
 
オペラ座のスポンサーで伯爵のフィリップを星組の安蘭けい
クリスティーヌに想いを寄せてますが、プレイボーイのボンボン。でも嫌味はなくて、明るい役で曲も明るいものが多いので安蘭らしいです。こういう役はシュッとした二枚目ですから素敵です。歌もやはり素晴らしい。
当時の宙組二番手格は水夏希大和悠河。どちらも歌が「アララ・・・??」という感じなので、この二番手シャッフルは良かったと思います。
 
 
フィナーレは中村Bレビュー感が出てオペラの名曲をアレンジしてました。ただ一場面和央ようかの金の総スパンの衣装が化粧と合っていなかったのが惜しい。東京公演では衣装が変わっていたと思います。
 
オペラ座のシャンデリアが落下するシーンはスローモーションで演出。若干迫力に欠ける気がしました。
作品的には細かいツッコミどころもありますが、再演されるほどの人気作となったのは、この初演の成功があったからだこそだと思います。