『スイスジャイアント・フローリストミックス』
現代のパンジーのほとんどがF1品種と言っても過言ではないでしょうか?
毎年種苗メーカーから発表される新品種はまずF1ですから私たちはそのコピーはセルフによって得られません。従って、毎年買い続けなければなりません。
この流れを作ったのが1966年坂田種苗(現サカタのタネ)が発表したマジェスティックジャイアントミックスです。以後固定種と呼ばれた品種群が徐々に世界的にF1品種へと進化してゆくことになりました。
50年前、固定種とF1品種の変遷のさなかに発表され、しかもヨーロッパや北米エリアで今もって販売され続けている系統のひとつに『スイスジャイアント・フローリストミックス』があります。
ここでいう『フローリスト』ととは花屋さんや華道家とはいまいちニュアンスが違い、今風で言う所のオタク つまり熱狂的な趣味家で深く掘り下げあげくに育種まで手掛ける人々のことだと思います。
ちょうどこのブログを読んでいるあなたのような人たちです。
そんなあなたを納得させる様な品種が50年前の『フローリスト』に対して提案され種子が残されています。
『スイスジャイアント』そのものは、スイスのログリー親子によって色別にコツコツと固定されたもので品種ごとに名前を付けられた素晴らしい品種群です。
『アールスメール・キングサイズミックス』
『スイスジャイアント』が色別に固定される少し前、4~5cm位の花径の様々な色合いのパンジーが存在したらしいのですが、まだ名前もついておらずそれぞれの国、会社によってさまざまな系統が存在していたようです。
5~6cmと花径が少し大きく、さまざまな色のミックス品種をオランダの会社が今もって保存していました。『アールスメール・キングサイズミックス』がこれです。
今あるF1品種の花色や顔はもちろん、こんなのあったらいいな~と言う花色が次々と出てきます。
『ロココミックス』
フランスで生まれた『シャロン』、イタリアで生まれた『カンカン』、これ等のベースになったとされる『ロココ』はドイツで生まれた『ゲルマニカ』が元になっています。
以前とあるメーカーが導入して一世風靡した『オルキ・ブルーフェイス』もドイツのメーカーで保存されていたものだそうです。フリルが強く八重咲にも見えるとても美しい品種でした。
『クリアクリスタルミックス』
スイスで『スイスジャイアント』が生まれてしばらくすると、ログリー社の元詰めが高級で高価であったことや、その名前が商標として登録されていたことから、その原種を使ってコピーを生産し違う名前で各社が販売を始めます。
オランダのスルース&グルート社はひげの無い美しい黄色品種『コロネーションゴールド』を発表し、以後無地の各色を次々と発表し『クリアクリスタル』シリーズを完成させます。
これは定番となりやがて一般品種となってしまいます。
その後、他の会社がこの固定種を引き継ぎますが、いつの間にか別品種となって販売が継続しています。おそらく、色別で採種したものを混合でさらに採り直し、ミックスとして販売しているのでしょうか?
『ブルースワール』『モルフォ』というF1品種で再現された花色がすでに混ざっています。
『クールオータムミックス』
固定種の多くは現代的なF1と比べて秋咲性に劣る、いわゆる『春のパンジー』です。
そのため、『クールオータムミックス』のネーミングにかなり期待しましたが、F1にはかないませんでした。
ある意味本当に『クール』でした。
少し前まで、といってももう12~13年以上前ですがサカタのタネさんが販売していた『スマイル』に似た感じです。
私の改良の手助けにと『花ろまん』さんに取り寄せてもらい、実際に作ってみた画像をアップしました。
興味のある方『花ろまん』さんにご連絡ください。種子の入手に手を貸してくれるそうですよ。
品種改良をチャレンジしている方、古い品種の血を入れることで新しい特性が見つかるかも?
50年前のパンジー作ってみませんか?