「その弟子の名前をご存じですか」
「姓は湯、名は隆です。あの方々は、よくこの寺に来ては、
暇つぶしに世間話などしておったので、
わしもかれらも、お互いによく知っております」
徐寧は、やっと従弟の湯隆の行方をつきとめたことを喜びながらも、
ことのなりゆきに不安をいだき、さらにたずねた。
「役所は、かれらを捕らえてどうするつもりなのでしょう」
「役人たちは、梁山の手先として悪事をおかした罪だと言い立て、
鍛冶屋の親方と弟子の湯隆どのを捕まえると、
皮がやぶれ肉がほころびるほど打ちすえ、大牢に押し込めたのです。
しかし、娘さんひとりだけは刑罰抜きで、
どこか別の場所に連れていかれました」
徐寧は老道士に別れを告げると、宿屋に戻り、
自分ひとりの力で湯隆たちを救い出せないかといろいろ考えてみたが、
どの方法もうまくいきそうになかった。
さすがの金鎗将徐寧も、
たったひとりではどうすることもできず、悩むばかり。
牢に入れられた湯隆は、どうなってしまうのか。
この続きは、また次回で。