「民間大水滸」解宝、蛇を斬る その20 ラスト | 水滸伝ざんまい

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中国四大名著の水滸伝について語るブログです。
原典メインのため、北方および幻想はありません。
悪しからずご了承ください。

 

目を射抜かれてものが見えなくなった大蛇は、

暴れ狂いながら解宝のいる方へと突っ込んできた。

だが、解宝は一瞬の早業で、

ころげ回る大蛇のすぐそばに飛び込むと、

手につかんだ鋼の刀を振りかぶり、大蛇を叩き斬った。

 

大蛇の頭と胴体はいくつかに切断されてばらばらになったが、

巨大な尾だけが、どしんどしんと大きな音を立てながら

のたうち、岩壁を打ったので、

洞窟の中には砕けてくずれ落ちた石ががらがらと飛び散り、

岩肌にはみるまに深くえぐれた傷がいくつもついた。

 

解宝はもう一度、すばやく大蛇に近づくとさらに数回斬りつけた。

断ち割られた大蛇の胴体は、さながら石の車輪のように

ごろごろと洞窟の中を転がった。

 

解宝の全身は真っ赤に染まり、

水が湧くようにあふれた大蛇の血は泉に流れこんだので、

泉の水もまた真っ赤に染まってしまった。

 

そのとき、洞窟の外から

人々がわいわいと騒ぎ立てる声が聞こえてきた。

 

金竜は、はじめから山の上の見張りには行かず、村に戻るなり、

解宝が化け物退治をするから、

みんな力を貸してくれと叫び回って、

村人たちを呼び集めてきたのだ。

 

押し合いへし合いしながら洞窟に入ってきた人々は、

中の様子をひと目見るなり、

誰もがみな、恐ろしさのあまり立ちすくむばかりだった。

 

この後、解宝が大蛇を斬って、

人々を苦しめる悪を除いたという話が、

梁山湖の地方では広く知れわたっていき、

今日までしっかり伝えられてきた。

後世の人はこれを詩に書き残し、ほめたたえ語り続けたのである。

 

 

ようやく解宝の物語も大団円を迎えました。

巨大な洞窟の暗闇にひそむ大蛇を退治するという、

動物パニック映画のようなストーリーでした。

 

次回はどの好漢の話にするか、まだ決めていませんが、

これからも続けて翻訳していきますので、

どうぞ気長にお楽しみを。