目を射抜かれてものが見えなくなった大蛇は、
暴れ狂いながら解宝のいる方へと突っ込んできた。
だが、解宝は一瞬の早業で、
ころげ回る大蛇のすぐそばに飛び込むと、
手につかんだ鋼の刀を振りかぶり、大蛇を叩き斬った。
大蛇の頭と胴体はいくつかに切断されてばらばらになったが、
巨大な尾だけが、どしんどしんと大きな音を立てながら
のたうち、岩壁を打ったので、
洞窟の中には砕けてくずれ落ちた石ががらがらと飛び散り、
岩肌にはみるまに深くえぐれた傷がいくつもついた。
解宝はもう一度、すばやく大蛇に近づくとさらに数回斬りつけた。
断ち割られた大蛇の胴体は、さながら石の車輪のように
ごろごろと洞窟の中を転がった。
解宝の全身は真っ赤に染まり、
水が湧くようにあふれた大蛇の血は泉に流れこんだので、
泉の水もまた真っ赤に染まってしまった。
そのとき、洞窟の外から
人々がわいわいと騒ぎ立てる声が聞こえてきた。
金竜は、はじめから山の上の見張りには行かず、村に戻るなり、
解宝が化け物退治をするから、
みんな力を貸してくれと叫び回って、
村人たちを呼び集めてきたのだ。
押し合いへし合いしながら洞窟に入ってきた人々は、
中の様子をひと目見るなり、
誰もがみな、恐ろしさのあまり立ちすくむばかりだった。
この後、解宝が大蛇を斬って、
人々を苦しめる悪を除いたという話が、
梁山湖の地方では広く知れわたっていき、
今日までしっかり伝えられてきた。
後世の人はこれを詩に書き残し、ほめたたえ語り続けたのである。
ようやく解宝の物語も大団円を迎えました。
巨大な洞窟の暗闇にひそむ大蛇を退治するという、
動物パニック映画のようなストーリーでした。
次回はどの好漢の話にするか、まだ決めていませんが、
これからも続けて翻訳していきますので、
どうぞ気長にお楽しみを。