令和6年5月歌舞伎座昼の部 鴛鴦襖恋睦 おしどり | 癸の歌舞伎ブログ

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令和65月歌舞伎座昼の部 鴛鴦襖恋睦 おしどり

 

鴛鴦襖恋睦 おしどり オシノフスマコイノムツゴト オシドリ

 

おしどりの所作事の原型は安永四年十一月江戸中村座の「花相撲源氏張膽はなすもうげんじひいき」の二番目浄瑠璃「四十八手戀所譯しじゅうはってこいのしょわけ」とされている。これは富本で、富本が廃れるのに従ってこの曲も廃れ常磐津の「鴛鴦容姿の正夢いもせどりすがたのまさゆめ」に取って代わられたらしいが、「鴛鴦容姿の正夢」の初演が文政十一年正月江戸中村座の「水滸伝曽我風流」の一番目三立目であって、このとき上巻が「四十八手戀所譯」、下巻が「鴛鴦容姿の正夢」であった。富本と常磐津の競演で続けて上演するのであるから、全く同じ話の繰り返しとは思われず、ストーリー的に続きものだと思われる。本作の直接のオリジンはこれとは別の「新おしどり」と称される富本の「鴛鴦襖聞睦おしのふすまきいたむつごと」である。六世歌右衛門が昭和二十九年三月東京歌舞伎座における第一回莟会で常磐津にかえて「鴛鴦襖恋睦」と題し上演。以後はおしどりといえばこの曲となっている。

 

今回配役は

尾上松也(河津三郎、雄鳥の精)、尾上右近(遊女黄瀬川、雌鳥の精)、中村萬太郎(股野五郎)ら。

 

幕開くと小セリが下がったまま。下手ひな壇に長唄。水に橋がかかっている。上手常足二重。セリ合方で三人セリ上がる。三郎は浅葱地に柏紋、裾は露芝、わらび。黄瀬川は横兵庫牡丹柄、内側は十六むさし。団扇を持つ。黄瀬川と三郎が拍子舞、俣野も拍子舞。黄瀬川が行司になり、相撲。三郎が勝って黄瀬川を譲られる。黄瀬川、三郎は二重に上がって襖を閉める。長唄は入る。俣野は三郎を殺すつもりで、おしどりの血を飲ます策である。作り物をおしどりが出て、俣野が手裏剣で殺す。それを持って俣野は向こうへ入る。常磐津が出て二重を引く。七三よりめんどりがセリ上がる。島田、銀石持、藤地に笹と流れ。おんどりは塀が開いて出る。やはり笹に流れ、銀石持、帯は割ばさみ。上手より俣野出る。ドロドロになって黒衣が引き抜いておんどり、めんどり鳥の姿になる。立ち回りになる。黒衣が岩の形の台を出しておしどりがその上に乗ってぶっ返し、幕。