平成30年10月歌舞伎座昼の部 大江山酒呑童子 | 癸の歌舞伎ブログ

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平成3010月歌舞伎座昼の部 大江山酒呑童子




大江山酒呑童子 オオエヤマシュテンドウジ


萩原雪夫作、二世藤間勘祖振付、十四世杵屋六左衛門作曲。同名の名題は慶應三年五月京北側芝居に見えるがこれとは別物で、本作は昭和三十八年六月歌舞伎座初演の新歌舞伎である。


筋は謡曲の「大江山」にそっているが、能では酒呑童子に囚われている女は一人で、頼光一行が酒呑童子に会う前に出てきて頼光から手引きを頼まれる。また女は頼光一行の中の強力と恋仲になり、都へ帰ってからの結婚を誓う。童子と山伏の恋の風情も示唆される。ただし本作にはそういう要素はまったくない。


今回配役は


中村勘九郎(酒呑童子)、中村錦之助(平井保昌)、中村扇雀(源頼光)ら。


緞帳で幕開く。松羽目の前に長唄。一畳台に作り物。向こうより頼光一行。頼光は総髪をおろしてうしろで束ねてある。平井保昌と四天王は修験者の格好。一行が上手に着座すると、七三より童子せり上がり。童子格子の襦袢に羽織、大口。頼光は彦山の僧と偽る。童子の身の上話が済むと酒盛りとなる。頼光が僧としての偽りの履歴を述べる。さかなとして童子が舞う。童子は一畳台に乗り御簾をおろして中入りとなる。アイの女が三人出て頼光たちと話し、みんな向こうへ入る。いつもの大薩摩のあと向こうより武装した頼光一行が出る。頼光は立烏帽子。後シテは黒の長毛、銀杏、かえでの羽織、雲の長袴、大盃を持つ。童子は頼光らに切り立てられ台に乗ってきめて幕。