仁義なき戦い 頂上作戦(六)約束 深作欣二没後十六年・十七回忌命日 | 俺の命はウルトラ・アイ

仁義なき戦い 頂上作戦(六)約束 深作欣二没後十六年・十七回忌命日

『仁義なき戦い 頂上作戦』

 

映画 101分  カラー

昭和四十九年(1974年)一月十五日公開

製作国  日本

製作    東映京都

 

企画   日下部五朗

手記   美能幸三

原作   飯干晃一

脚本   笠原和夫


 

撮影   吉田貞次

照明   中山治雄

録音   溝口正義

美術   井川徳道

音楽   津島利章

編集   宮本信太郎

 

 

出演


 

菅原文太(広能昌三)

 

 

梅宮辰夫(岩井信一)

 

小池朝雄(岡島友次)

加藤武(打本昇)

 

 

三上真一郎(川田英光)

小倉一郎(野崎弘)

八名信夫(河西勇)

木谷邦臣(和田作次)

白井孝史(森久宏)

 

 

 

松方弘樹(藤田正一)

 

監督 深作欣二

 

☆☆☆

美能幸三はノークレジット

☆☆☆

 画像・台詞出典 『仁義なき戦い 頂上作戦』DVD

 『柳生一族の陰謀』 パンフレット

☆☆☆

  台詞の引用・シークエンスの考察は、研究・

 学習の為です。 
 東映様にはおかれましては、ご理解・ご寛

恕を賜りますようお願い申し上げます。

 平成十年(1998年)八月十六日新世界東映

 平成十二年(2000年)十一月四日十三東映

 にて鑑賞

 ☆☆☆

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仁義なき戦い 頂上作戦(三)「頼むよ」 吉田貞次撮影作品

 

 

仁義なき戦い 頂上作戦(四)義西会若頭 吉田貞次撮影作品

 

  

  

 藤田正一が表に出ると、野崎弘が車の中で

プロ野球中継をして、プーヤ(野球賭博)の仕事

に専念していた。直向な野崎に、藤田は優しく

「どっちが勝っとってや」と聞き、野崎が「巨人が

3-0で」と答え、藤田はハンディを聞き、野崎が

「広島が三点ですけん」と答えた。

 藤田は野崎に金を渡し、「そっちはアンコになる

んじゃけん」と親しみをこめて語る。

 

 野崎は藤田の暖かい心に感動し、「済まんです」

と礼を言う。

 中から不機嫌な川田が出てきて、藤田に岡島の

態度を「煮え切らんのう!」と怒り、野崎にいきなり

ビンタを喰らわす。

 

   「よそのもんとチョロチョロしよんな!」

 

 割烹旅館の座敷。

 

 シナリオでは岩井が芸者衆に卑猥なジョークを言

う。

 

  岡島友次は広能昌三の長年の友誼に報いること

を決め、「儂の名前使ってくれい」と応じて、一つだけ

条件を頼む。

 

   岡島「そっちからが手は出さんと約束してくれ

       いや、のう。」

 

  広能「おお分かちょるけん!」

 

  ナレーター「だが、その頃、呉では、広能達の予想

          外の事件が突発していた。」

 

  呉の街で槇原政吉が呉の小組長吉倉周三に子分森

久宏と共に会っている瞬間を確かめた河西清が銃を取り

だすが、その銃は広能からの預かり物であった。森久は

すかさず迎撃して、返り討ちにして、河西は射殺された。

 

 シナリオでは河西が預かり物の銃を取り出す光景や

槇原の射殺命令が詳しく描写されているが、本編では

河西が銃を抜いて森久に射殺されたことが白黒静止

画像で映り、ナレーションが語られる。

 

 自身を案じてくれた河西を守り切れなかったことに、広

能は苦悩する。

 

 ☆☆狙われる約束☆☆

 藤田が野崎に野球賭博について聞き、巨人に広島が

負けてることを聞かされ、金を渡し、「アンコ」の関わりで

あることを確かめる。義西会と川田組の二人が垣根を

越えて仁義を確かめ合う。

 

 松方弘樹と小倉一郎が男と男の義を鮮やかに見せる。

そこへ川田が不機嫌な表情で現れ、野崎を殴り、「余所

のもん」と親しさを厳重注意する。組員達にとって、組の

掟は重くのしかかり、藤田も友人野崎を救えず一礼する

しかない。

 

 岡島は広能への友誼から協力を頼むが、「そっちから

手だしはせん」という先制攻撃だけは仕掛けてくれるな

と懇願する。

 真摯な平和主義を岡島は熱く望み平和の為に尽力し

ている。

 広能もその真心に打たれる。

 

 小池朝雄の優しさの深い表現に感動した。

 

 だが、岡島の優しい平和主義は、山守義雄の老獪な

戦術によって翻弄され叩き潰されて行く。ここにも「仁義

なき戦い」の主題がある。

 

 河西が槇原にころされ、広能は自身を慕ってくれた子

分を守れなかったことを痛感する。

 

 第一部では山守に命がけで忠義を尽くして裏切られ

て拠り所を尋ねてさすらう昌三の悲しみが確かめられ

た。

 だが、第四部「頂上作戦」になると抗争で命を戦いで

散らし死んでいく若者達を助けられず苦悩する広能が

確かめられ、描かれ、映る。

 

 「裏切られた者の悲しみ」から「約束を守りきれない

苦しみ」へ。笠原和夫の視座は鋭い。深作欣二の演出

も重い。

 

 菅原文太が、昌三の悲しみと苦しみを深い芸で探求

する。

 

  深作欣二没後十六年・十七回忌命日

  平成三十一年(2019年)一月十二日

 

                              合掌

 

 

                         南無阿弥陀仏

 

 

                             セブン

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