新必殺仕置人 裏切無用(四)密談 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 裏切無用(四)密談

『新必殺仕置人』「裏切無用」

テレビ映画 54分 カラー

昭和五十二年(1977年)三月十一日放映

放送局 朝日放送系

 

  のさばる悪を  なんとする

   天の裁きは  待ってはおれぬ

  この世の正義も あてにはならぬ

   闇に裁いて  仕置する

  南無阿弥陀仏

☆☆☆
 演出の考察・シークエンスへの言及・台詞

の引用は研究・学習の為です。

 松竹様・朝日放送(ABC)様におかれましては、

お許しと御理解を賜りますようお願い申し上げま

す。

 ☆☆☆

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(加筆あり)

 

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 かねみ屋庄次郎は店内で兄金見庄兵エの姿を

見て、文吉殺しの下手人として疑われていないか

どうかを問う。

 

   庄次郎「どうだった、兄さん?」

 

   庄兵エ「大丈夫だ。町奉行所には何の動き

        もない。」

 

  兄弟の会話を聞く存在が声をかけた。

 

   「怖いのは町方なんかじゃねえ。」

 

 闇の重六であった。

 

  寅の会に追われる彼は金見兄弟に狙われていることを知ら

せ組むことにしたのだ。だが、庄兵エは快く思わなかった。

 

   重六「本当に怖いのは仕置人さ」

 

 重六は団子を食べる。

 

   庄兵エ「又その話か!作り話をでっちあげて金にしようとし

        てもそうはいかん!とっとと消えろ!」

 

   庄次郎「兄さん。この人の話は満更嘘でもなさそうですよ。

        現にいましがた、文吉の友達だという妙な野郎が

        線香あげに来たんです。」

 

   重六「仕置人の一人だ。間違いねえ。」

 

   庄兵エ「考えてみりゃ、俺達に恨みがある人間がごまん

        といるんだ。」

 

 庄兵エは美人丹の薬害で自分達を恨む人間のひとりが仕置

人に頼むことも納得のいく話であり、金も掴んだし、薬商売を畳

み逃げる時期だと述べる。重六は庄兵エに何故雇い人を殺った

のかと問い、庄兵エは文吉が訴えようとしたので斬ったと動機

を語った。

 

   庄兵エ「貴様の話が本当ならじたばたしても仕方がない。

        来るなら来い。」

 

 絵草子屋

 鉄・己代松・正八・おてい・主水が語り合う。

 

 主水は庄兵エと庄次郎が実の兄弟であることを伝える。鉄は

庄次郎が侍くずれの商人であることを知る。主水は美人丹の

看板を挙げているが江戸では一粒も売っておらず、陸奥や但

馬等で売っていたことを突きとめる。おていは酷い目に遭った

人も大勢いるんだろうねと想像する。

 

    鉄「おい八丁堀。お前こんな所でぼやぼやしてねえでよ。

      早いとこ庄兵エとかいう浪人召し取ったほうが手柄

      になるんじゃねえのか?」

 

    主水「証人がいらあな。殺しの現場を見ましたって奴が

        な。」

 

 鉄は見たが見てねえよととぼける。主水はおめえのような埃

だらけの奴叩かれちゃこっちが危ないと注意する。

 

   主水「そうだろう正八?」

 

   正八「何で俺に聞くの?冗談じゃないよ。そんな事見まし

      たって行ってみろ!」

 

 正八は傾動の日に女郎と遊んだことがばれて罰せられると

恐れる。

 

   鉄「せいぜい百叩きだ。我慢しろ!」

 

   おてい「あたし、あれに耐えてる人素敵なの。」

 

 正八は怖がる。松は承知すれば五両の四分の一は

貰えるぜと言って聞かせる。

 

   主水「違うぜ。五分の一だ。」

 

 

 ☆☆謀議☆☆

 

 金見屋内における庄兵エ・庄次郎・重六の謀議のシーン

は重くて深い。伊達三郎・五味龍太郎・名和宏の三大悪役

名優の激突は迫力豊かだ。三者ともに過去に大映映画で

活躍されたが、名和宏はやはり東映で悪役としての全盛時

代を築かれたと申すべきであろう。

 

 伊藤大輔映画で大活躍した伊達三郎が剣豪浪人の悪

役庄兵エを凄み豊かに勤める。

 

 「来るなら来い」の闘志は、仕置人との対決を楽しむ余裕

すら感じさせる。

 

 仕置人達の会話にはユーモアと鋭い笑いがある。

 

 正八が追いこまれて行くところが可哀相だが、火野正平が

笑わせる。

 

 鉄は手柄を立てろと勧め、主水は手柄と仕置の両方を為

そうとする。

 

 これがクライマックスへの伏線となる。

 

 『必殺』史上最強大傑作の一本である。

 

 明日再放送の為、クライマックス対決シーンは、十六日

夜に書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 キャスト

 

 藤田まこと(中村主水)                  

 

 中村嘉葎雄(己代松)

 

 火野正平(正八)

 

 中尾ミエ(おてい)

 

 

 

 名和宏(闇の重六)

 

 伊達三郎(金見庄兵エ)

 五味龍太郎(かねみ庄次郎)

 

 

 

 

 

 

 

 山崎努(念仏の鉄)

 

 


 スタッフ
 

 制作   山内久司(朝日放送)

      仲川利久(朝日放送)

      桜井洋三(松竹)


 

 脚本          野上龍雄
 

 音楽          平尾昌晃

 編曲          竜崎孝路

 

 撮影          石原興

 製作主任       渡辺寿男

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          木村清次郎

 調音          本田文人 

 編集          園井弘一

 

 助監督        松永彦一 

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全

 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所

 

 制作補         佐生哲雄

 振付           藤間勘眞次

 殺陣           美山晋八

               布目真爾

 題字           糸見渓南

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 予告編ナレーター   野島一郎

 

 主題歌          あかね雲

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄             川田ともこ

 東芝レコード

 

 

 監督           高坂光幸


 

 制作協力        京都映画株式会社

 

 

 制作            朝日放送

                松竹株式会社

 

 ☆☆

 山崎努=山﨑努

 早坂暁・野島一郎はノークレジット

 本編内傾動についてのナレーションは、酒井哲

 の声と思われる。

 ☆☆

 「己代松」の表記は本編字幕に依った

 ☆☆

 (画像・引用台詞出典 

 『新必殺仕置人』DVD vol.2)

 

 

                  南無阿弥陀仏