新必殺仕置人 裏切無用(二)寅の会世話役 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 裏切無用(二)寅の会世話役

『新必殺仕置人』「裏切無用」

テレビ 60分 カラー

昭和五十二年(1977年)三月十一日放映

放送局 朝日放送系

 

  のさばる悪を  なんとする

   天の裁きは  待ってはおれぬ

  この世の正義も あてにはならぬ

   闇に裁いて  仕置する

  南無阿弥陀仏

  ☆☆☆
  演出の考察・シークエンスへの言及・台詞

の引用は研究・学習の為です。


 松竹様・朝日放送(ABC)様におかれましては、

お許しと御理解を賜りますようお願い申し上げま

す。

 ☆☆☆

 

 闇の重六は寅の会で自身が狙われていることを聞き、虎に

鉄球を投げて逃走する。死神が刃物を投げるが取り逃がす。

 

   吉蔵「お静かに。お静かにお願い致します。ご説明申し上

       げます。これは上方よりの依頼でございます。一年

       程前あの闇の重六に押し込み強盗を働かれ、一家

       八名無惨にも殺されたあるお方が頼み人でござい

       ます。その後重六めは名を変え仕置人に成りすまし

       この寅十番会に出席していたものと思われます。

 

 

 

  虎の部下吉蔵は仕置人達に謝罪し、連続殺人鬼の重六が

仕置人になって寅十番会に出席していたことを見抜けなかった

ことを謝る。

 

     吉蔵「このような不始末を仕出かしました事は只只

      虎の不行届」

      

 

  虎「皆の衆お聞きの通りだ。本日をもって仕置人世話役の

    役を降ろさせて頂きたい。」

 

  鉄「ちょっと待ってくれ。俺は不承知だぜ。お前さん、これ

    まで立派に世話役の勤めを果たしてきた。この事に

    ついては俺達何の不満もねえ。お互い名前も知らね

    え俺達が裏の稼業を続けてこれたのも寅の会があ

    ったからだ。今度の事は災難だ。最後の始末さえき

    っちり付けてくれりゃこれまで通り世話役をやっても

    らいてえ。」

 

 鉄はこれまで立派に世話役を果たしてくれたと讃え「今度の事

は災難だ」と優しく語り、全員の御手を拝借して場を締める。

 

 虎が御礼に頭を下げる。

 

  ☆☆仕置人の仁義☆☆

 

  重六の鉄球を素早かわす虎。野球で鍛えられた藤村富美男

の瞬発力を現す場面だ。死神が刃物を放ち、重六が逃げる。

  名和宏のアクションが素晴らしい。

 

  北村光生の吉蔵が悲しみをこめて主人虎の失敗を多弁を

以て詫びる。長台詞を堂々たるリズムで語ってくれる。

 

  虎はこれに対して厳かに謝罪する。

 

  虎の痛みを鉄が優しく包む。

 

  仕置人達の仁義を教えてくれる名場面だ。

 

  「御手を拝借」の締めは喜劇的だが、野上龍雄は寅の会のよ

うな鋼鉄の組織でさえも突然危機に陥ることを伝えてくれる。

 

  山崎努の明るさと暖かさが光っている。

 

  鉄は「問答無用」において、虎・死神を裏切って昔の仲間

主水を助けている。その事が露見すれば、虎・死神に粛清さ

れる。

 そのような危機にありながらも、虎の世話に恩と義理を感

じその失敗を後始末完了の後は許されるべきものと擁護し、

締めて応援する。「始末をつける」とは寅の会壊滅を目論ん

だ重六の仕置である。

 

 虎の巨大さに鉄が感動し、その懐刀として働き始める筋の

原点が此処に在る。

 

 「裏切無用」は鉄と虎の信頼関係の深まりを示すドラマでも

あるのだ。

  

 

 

 

キャスト

                   

 

 河原崎建三(死神)

 

  名和宏(闇の重六)

 

 五味龍太郎(かねみ庄次郎)

 

 

 藤村富美男(元締虎)

 

 

 北村光生(吉蔵)

 瀬下和久(闇の俳諧師)

 藤沢薫(闇の俳諧師)

 原聖四郎(闇の俳諧師)

 堀北幸夫(闇の俳諧師)

 沖時男(闇の俳諧師)

 

 

 

 

 

 山崎努(念仏の鉄)

 



 


 スタッフ

 

 

 制作 山内久司(朝日放送)

    仲川利久(朝日放送)

    桜井洋三(松竹)

 
 

 脚本          野上龍雄
 

 音楽          平尾昌晃

 編曲          竜崎孝路

 

 撮影          石原興

 製作主任       渡辺寿男

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          木村清次郎

 調音          本田文人 

 編集          園井弘一


 

 助監督       松永彦一

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全

 
 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所


 

 制作補         佐生哲雄

 振付           藤間勘眞次

 殺陣           美山晋八

               布目真爾

 題字           糸見渓南

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 予告編ナレーター   野島一郎

 

 主題歌          あかね雲

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄             川田ともこ

 東芝レコード

 

 監督           高坂光幸

 

 制作協力        京都映画株式会社

 

 制作           朝日放送

               松竹株式会社

 

  ☆☆

 山崎努=山﨑努

 早坂暁・野島一郎はノークレジット

 本編内傾動についてのナレーションは、酒井哲

 の声と思われる。

 ☆☆

 「己代松」の表記は本編字幕に依った

 ☆☆

 (画像・引用台詞出典

  『新必殺仕置人』DVD vol.2)

 

  ☆この記事は十一月三日に未完成で発表し、同月

四・五日夜に加筆しました☆

       

                     南無阿弥陀仏