新必殺仕置人 裏切無用(三)美人丹 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 裏切無用(三)美人丹

『新必殺仕置人』「裏切無用」

テレビ 60分 カラー

昭和五十二年(1977年)三月十一日放映

放送局 朝日放送系

 

  のさばる悪を  なんとする

   天の裁きは  待ってはおれぬ

  この世の正義も あてにはならぬ

   闇に裁いて  仕置する

  南無阿弥陀仏

☆☆☆
 演出の考察・シークエンスへの言及・台詞

の引用は研究・学習の為です。

 松竹様・朝日放送(ABC)様におかれましては、

お許しと御理解を賜りますようお願い申し上げま

す。

 ☆☆☆

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(加筆あり)

 

 念仏の鉄の情けある言葉で、世話役虎は殺し屋重

六の仕置を条件に役目の継続を許され、俳諧師達は

鉄の音頭で締めに参加し、感動した虎は頭を下げる。

 

 美人丹の看板を掲げる金見屋を鋳掛屋の己代松と

掏摸のおていが見ている。

 

   己代松「手代が殺されて主人が狙われるか。 

        よくよくついてないんだな、あの店は。

        美人丹てのは何の薬だ?」

 

   おてい「血の道によく効くそうなのよ。何時行った

        って品切れなのよ。」

 

 松は店から仲間の正八と主人金見屋庄次郎が出て

きたことを告げる。正八は殺された手代文吉の友人を

名乗って探りに行ったのだ。

 

   己代松「あれが金見屋だな?」

 

   おてい「正八のあの格好!あんなんに線香あげ

        られたんじゃ殺された手代も浮かばれない

        ね。」

 

  念仏の鉄が登場し、正八に「猿回し」と声をかける。

 

   正八「ちょっと聞いてよ。あの店じまいするんだっ

       てさ。」

 

 おていが驚く。正八は金見屋が手代を殺され商売に

嫌気がさしたと語ったことを報告するが、葬儀も終わら

ないうちに雇い人全員に暇を出したことを不審に思う。

 

  鉄は「暇出した?」と問い、正八は金見屋の家の中

は人気も無く主人一人のようだと予想を語る。

 

  おていは「楽な仕事じゃない」と予想する。

 

  己代松「行こうじゃないか。何も考えこむ事ないじゃ

       ないか。線香あげに来たといってギィと殺り

       ゃあ!」

 

  正八「八丁堀のおじさん。本当に外すの?」

 

  己代松「手代殺しは奴の係だ。今度だけはちょっと

        まずいや。」

 

  おてい「八丁堀いたらややこしくなるじゃない。」

 

  鉄「何か変だな?」

 

  正八「何が変なの?」

  

  己代松「待ってろ。俺が殺ってやりゃ!」

 

  鉄「松。ちょっと、待て!」

 

 金見庄兵エが現れ店に入っていく。鉄は「八丁堀呼

んで来い」と松に声をかけ、松は正八に「呼んで来い」

と指示を出す。

 

 

 ☆☆美人丹看板☆☆

 

 美人丹の看板が大きく掲げられる金見屋を己代松

とおていがじっと見つめる。店は大きいが人気が感じ

られない。

 松が鋳掛職人として直している鍋に水をかけ、立つ

水蒸気が印象的だ。

 高坂光幸監督は物語のポイントや疑惑の地点で印

象的な映像を撮る。

 

 正八が文吉の友人と偽って店に入り主人庄次郎と

話し、店じまいがなされ、雇い人は暇が出されたこと

を聞かされる。

 

 鉄は金見屋に不審を感じ、主人の兄浪人庄兵エが

店に入る光景を見る。厠からこの男が文吉を斬殺した

ことを目撃している鉄は、事件の闇を感じる。

 

 金見屋が美人丹と称した薬で客の健康を害した。こ

のエピソードの基になった事柄は、昭和四十三年のカ

ネミ油症事件である。

 

 野上龍雄脚本は、薬害事件に対する悲しみと怒りを

こめて、仕置のドラマを書いた。カネミ油症事件は、忘れ

てはいけない出来事で、被害に遭った方々にお見舞い

申し上げる。

 

 ドラマは、美人丹と称する贋薬で儲けた金見兄弟が

事情を知る文吉を口封じで殺し高跳びしようとする計画

を語る。

 

 兄庄兵エを勤める方は伊達三郎。伊藤大輔監督作

品で大活躍した悪役名優である。

 

 庄次郎役の五味竜太郎は凄腕の剣士の悪役を当た

り役とする名優だが、ここでは臆病者の庄次郎を深い

芸で勤めている。

 

 大映映画活躍した二大名優による金見兄弟の存在

感は圧巻である。

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 キャスト

                   

 

 中村嘉葎雄(己代松)

 

 火野正平(正八)

 

 中尾ミエ(おてい)

 

 河原崎建三(死神)

 

 伊達三郎(金見庄兵エ)

 五味龍太郎(かねみ庄次郎)

 

 

 

 藤村富美男(元締虎)

 

 

 北村光生(吉蔵)

 瀬下和久(闇の俳諧師)

 藤沢薫(闇の俳諧師)

 原聖四郎(闇の俳諧師)

 堀北幸夫(闇の俳諧師)

 沖時男(闇の俳諧師)

 

 

 

 山崎努(念仏の鉄)

 

 


 スタッフ

 

 

 制作 山内久司(朝日放送)

    仲川利久(朝日放送)

    桜井洋三(松竹)


 

 脚本          野上龍雄
 

 音楽          平尾昌晃

 編曲          竜崎孝路

 

 撮影          石原興

 製作主任       渡辺寿男

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          木村清次郎

 調音          本田文人 

 編集          園田弘一

 

 助監督        松永彦一 

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全

 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所

 

 制作補         佐生哲雄

 振付           藤間勘眞次

 殺陣           美山晋八

               布目真爾

 題字           糸見渓南

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 予告編ナレーター   野島一郎

 

 主題歌          あかね雲

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄             川田ともこ

 東芝レコード

 

 

 監督           高坂光幸


 

 制作協力        京都映画株式会社

 

 

 制作            朝日放送

                松竹株式会社

 

 ☆☆

 山崎努=山﨑努

 早坂暁・野島一郎はノークレジット

 本編内傾動についてのナレーションは、酒井哲

 の声と思われる。

 ☆☆

 「己代松」の表記は本編字幕に依った

 ☆☆

 (画像・引用台詞出典 

 『新必殺仕置人』DVD vol.2)

 

                 

   

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