君子は豹変す『易経』
一般的には、これまでの態度や立場をがらりと変える人、変わり身の早い者をさすことばとして使われているが、本来は、君子は過ちを改めて善に向かうことのきわめてすみやかであることをいう。「豹変」とは、豹の毛が秋になって抜け変わり、一変して色あざやかな紋様を見せること。
いつごろから、正反対の意味に使われるようになったのかは知らないが、君子然としながら陰で巧妙に立ちまわる者のほうが多かったということだろうか。宋代の名臣王安石は、「近ごろの君子ときたひには、昇進のためなら人をも殺しかねない」と慨嘆している。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)