人生百年、昼夜おのおの分(なか)ばなり(列子)
かりに人生を百年とすれば、昼間が五十年、夜が五十年ということになる。とすれば、人が幸福かどうか、昼間の生活だけでは決められないのではなかろうか。昔、金持ちにこき使われていた老僕、さぞつらかろうと同情する者に、こう答えたという。「人生百年のうち、昼と夜と半分ずつ。昼こそは下僕としてつらい暮らしをしているけれど、毎夜、夢のなかでは王侯となって優雅に過ごしているので、べつに不満はない」
公的生活と私的生活に同等の価値を認める人ならば、一方のつらさを他方で逃避せよとの意味ではないことが、よく理解できるはず。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)