漢代の宰相丙吉は、殺し合いの現場に出くわしたさいには知らぬ顔をして通りすぎたのに、あえぐ牛を見たときには様子をたずねた。事の軽重を誤っているのでは、という非難に丙吉は、「宰相たるものは、細かいことに口を出すべきではない。街中のケンカは首都警備長官の管轄だから、まかせればいい。だが、暑い季節でもないのに牛があえいでいるのは気候が狂っているのかもしれぬ。その対策を講ずるのは宰相の任務だ」と答えた。
リーダーにはリーダーとしての大きな職分があり、場当たり的に事の処理をしてはいけない、ということである。(出典 丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)