くだらないというしあわせ | 速報いくのふ☆

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久しぶりに街へ出て、

音楽や映画をこよなく愛する妙高女子たち(名付けて妙高サブカル部)と、

石川寛カントク作品、

『ぺタルダンス』を観てきました。


石川寛カントクとは、

映画『tokyo.sora』でご一緒させてもらったことがあります。


『ペタル ダンス』も石川カントクらしい世界観に満ちていました。


見終わった余韻の中、

『衣装もよかったよね』とか、

『どこまでが台詞でどこからが素なんだろう…』とか、

感想を交えたそんは話を聞いていたら、

帰りの車中、
『tokyo.sora』の撮影時のことを色々と思い出していました。


石川節というか、

カントクならではの技法だったりするかもしれないから、

あまり言えないけど、

わたしの勝手な判断で幾つかエピソードを話したいと思います。


まず、

衣装はほぼ自分の持ち物でした。

出来る限りそのまま。


そして、

台本はなし。

厳密にはカントクの中にだけあって、

出演者は次の展開を知らない。

ただ“今”の中に居るという感じです。


わたしは流行らない喫茶店でウエイトレスのアルバイトをしている子だったのだけど、

その店内にも私物を置いていたり、

映画の中ではわざわざ説明したりはしてないけれど、

設定というか、

それぞれの人物の生い立ちから思想、
好き嫌いなど、

事細かにはっきりしていたと思います。


映画撮影の少し前、

わたしはCDのジャケット撮影もあり根元がだいぶ黒くなってきた髪が気になり、
キレイにカラーリングしたのだけど、

そのあとカントクに会ったら、

『…(涙) ジャケットの撮影が終わったら髪をカラーリング前に戻してね…』と慌てられていました。

戻すって、

根元だけ黒いあの状態にですか?

そうです。
カラーリングしてから数ヶ月経ってたであろう根元の黒いあの感じです。


さて…、

そんなことができるのであろうか…。

ヘアメイクさんに相談だ!


そ、それは…、
難しいなぁ…
そんなことしたことないよぉ…
ははは…(T-T)


大変困惑していたけどプロの意地と根気でやってくださいました。

髪の伸び方って均一じゃないのですね。

自然に見えるには根元の黒髪は不揃いじゃないといけない。

とても手間がかかる作業でした。


カントクのOKがでたときはホッとされていたな。


キレイに染めた髪を染める前の汚い感じに染め直すなんて、

よくわからないし、

くだらないと思うんです。

でもそこにこだわって、

譲れなくて、

それは実はただただ優しさで、

情熱で、愛なのです。


誰も気がつかないかもしれないことにこだわって、

ひとりでも気づくかもしれないことを夢想しながらヒクヒク心を踊らせて創造して、

ひとりでも傷つくかもしれない表現を何度も何度も見直したり書き替えたり、


なんてくだらなくて愛しい…。




ペタルダンスも言うなれば、

だいぶはしょってしまいますが、

『自殺未遂をした大学のときの親友に会いに行く』

というだけのお話です。

そのお話に、

たっくさんのスタッフと、

結構なお金と、

情熱が注がれて、

見終わって24時間以上経っても尚、

ジワジワと優しい余韻が続いている…


なんてしあわせな創造…

なんて贅沢な創造…


わたしはやっぱり、

このくだらないと思われるかもしれないこだわりの中で、

くだらないと思いながらもそのくだらないことに誠心誠意情熱を傾けてしまう横顔が大好きで、

その創造の時間に生きていたいと改めて思うのです。


くだらないの中に、

あるしあわせ…。





今夜は星野源さんの、

『くだらないの中に』を聴きながら眠ろうと思います。


おやすみなさい。




イクノフ