合成の誤謬…^ ^

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今回は、題名から「合成の誤謬」と、大上段に構えさせて頂きました。

合成の誤謬についてはご存知の方も多いとは思いますが、個別(ミクロ)の視点では正しいことでも、それが合成された全体(マクロ)の世界では正しく無い結果が出る事を指す経済学の用語です。




一方で、今回の主題は「石綿(アスベスト)健康被害救済基金」についてです。少し長くなりますが、お付き合いいただければ嬉しいです。


この基金は、石綿(アスベスト)健康被害救済法に規定されたものです。石綿による健康被害を受けた方の医療費・療養手当等のために、国・地方公共団体及び事業者から拠出され、環境省の外郭団体である「独立行政法人環境再生保全機構」のなかに置かれ、この10年間残高が800億円程度で推移しています。


この基金残高800億円使途については「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」をはじめ、多くの方々が、石綿関連疾患の治療研究促進の用途に使用できるよう求めています。(後述します)




ここで、気になる記事が日本経済新聞1月11日朝刊の一面に掲載されていました。


※日経新聞1月11日朝刊の紙面をお借りしました


この記事ざっくり言うと、有効に活用されていない国の所轄する基金が多い。国は四半期毎に基金の運用状況を確認して、有効で無いものは国の予算・支出を減らすべきだと言うものです。

しごく、まともでその通りです!




が、ちょっと待ってください。石綿健康被害救済基金に関して言うと、冒頭に挙げた「合成の誤謬」そのものです。


分かりやすく流れを書くと、


・石綿健康被害救済法は、被害者の医療費・療養費等を支給すると定めている

    ↓

・外郭団体に石綿健康被害救済基金を設置

    ↓

・国、地方公共団体、事業者が資金を拠出

    ↓

・官僚は法を適正に執行し、定められたもののみを支出

    ↓

・医療費・療養費等を支給した残金が蓄積

    ↓

・基金としての資金回転率が悪化

    ↓

・基金総額を減少させる??


どこも間違っていませんが、石綿健康被害者の救済に十分機能していない。合成の誤謬そのものです。

マクロな視点で見直して、どこが間違っているかを見直してみると、元になっている「石綿健康被害救済法」に欠陥があるのです。



石綿健康被害救済法の問題点(欠陥)は、上記に加えた、以下の通りの3点あります。




この欠陥を是正するために、一刻も早い石綿健康被害救済法の法改正が必要です٩( 'ω' )و