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ある日の外来で
70代の男性患者さんが
「肋骨にひびが入ったと思う。」
と右の背部を指さしました(手は届かないけれど)。
数日前から痛み出して、受診したその日には
右の前胸部まで痛みが広がっていました。
外観上の皮ふは全く異常なし。
外傷の既往も、重い荷物を持ったとか
捻ったとかもなかったのですが
骨を心配していたので
整形外科医に診察してもらいましたが、異常なしでした。
神経痛のような痛みだったので
「帯状疱疹による症状かもしれません。」
とお話し、痛み止めを処方し発疹が出てきたら
受診するように説明しました。
数日後「出てきました。帯状疱疹だったんですね。」
と患者さん。
帯状疱疹の治療を行い、発疹は痂皮化して枯れていきました。
ただ、帯状疱疹後神経痛が、かなりひどく続いていて
通常の痛み止めでは効果がなく、夜も寝れないとの事でした。
帯状疱疹後の神経障害性疼痛の治療薬を処方するには
腎機能の評価が必要でしたので、血液検査を行うことにしました。
他の医療機関では血液検査を受けたとのことでしたが、詳細不明で
1年以上、私の勤務先でも検査をしていなかったので
腎機能以外の項目も提出しました。
腎機能は正常でしたが
血糖が食後2時間で367mg/dl、
と、立派な糖尿病だったのです。
痛みの治療とともに、糖尿病の治療も始まったのでした。
高齢になるとそれだけでも免疫が低下してきますが
さらに高血糖状態だったため、さらに低下し
帯状疱疹になってしまったものと考えられます。
他の病気になって、糖尿病が発見されることは結構ありますし
高血糖状態が続いても
よっぽどでなければ症状はありません。
何も自覚症状がなくても、定期健診で受けるような項目は
年に1回程度は受けてくださいね。