ご訪問ありがとうございます
「眠れないので薬ください。」
患者さんから時々相談を受けます。
夜中悶々と過ごしたり
熟睡できずに翌朝が来て昼間の体調が悪いなど。
一日だけでなく何日も続いてしまうと
大変つらいと思います。
でも、待ってください。早く眠れるようになって
楽になりたいというのはよくわかりますが
それだけでよいのでしょうか?
そういう時、私は睡眠の薬を処方する前に
いくつかお尋ねしています。
①まず普段の生活からです。
規則正しい生活を送れていますか?
朝は何時に起きて、朝食はどうされていますか?
そのあとの行動はお仕事?お稽古?家の用事?
お昼ごはんは?午後からはどうされていますか?
仮眠はどのようにとっていますか?
居眠りして困っていますか?
夜はどのように過ごされていますか?
夕食は?入浴は?寝室に入ってからは?などなど…
丸一日翌朝起きるまでの行動をお尋ねします。
書いてみると取り調べみたいですね。
そもそも眠れるような生活リズムを
ちゃんと送っていらっしゃるかを確認して
改善できそうなところがあれば、工夫していただきます。
②他に要因となりそうなものがあればすべて挙げていただきます。
仕事、家事、育児、介護などでのストレスや
多忙が多いようですが、いかがですか?
それらが一時的なものなのか
長期にわたるものなのか
そして回避できないものなのかを確認します。
回避できるものがあれば
一人で抱え込まずに出来るような対策を
とっていただきます。
③これまでになった病気やケガ、今治療中の病気などについてお尋ねします。
もとの病気の悪化によるものでないか
薬の副作用で眠れなくなっている可能性がないか等を確認します。
④これらが終わったら次に診察をします。
問診で不眠症以外の病気が疑われたら
その病気の診察を重点的に行います。
不眠症だけなら眠れないことによる変化以外は
基本的には診察で目立った異常はないはずです。
他の病気を疑う時とは?
わかりやすい例を挙げると
イビキがひどいときは睡眠時無呼吸症候群を疑います。
ゼーゼーいうような喘鳴にアレルギー体質があるなら
喘息を疑います。
ゼーゼーいうような喘鳴にむくみ、呼吸困難などもある時は
心臓や腎臓の病気を疑います。
他には、気分の落ち込みがひどい場合は
うつ状態が疑わしいですし
やたらとノドが乾いて水分をたくさん飲んで
尿が多くなって夜もトイレに何回も行く場合は
糖尿病が疑わしいです。
問診や診察の順番はそのときによって違いますが
大体こんな感じです。
とにかく眠れるようにお薬さえくれたらいいのよ。
とお考えになる方もいらっしゃるかと思います。
実際に患者さんから言われたことも何度かあります。
もちろん、眠れないことによる不調を整えることは大切です。
ですが、眠れるようにするためには、薬を使うだけでなく
同時に生活習慣の工夫、改善も大事です。
そして、眠れない症状の中に
思わぬ病気が隠れていることがあるので気を付けてくださいね。
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