日本のアニメーション歴史年表 その6 2011(平成23)年~2017(平成29)年 | 日本アニメ視聴館  アニメ公式配信紹介

日本アニメ視聴館  アニメ公式配信紹介

アニメコンテンツやアイドルコンテンツに関して、記録や思ったことを徒然に記しています。

お越しいただき、ありがとうございます。

当ページは2011年から2017年にかけての日本のアニメーション年表です。

【2011年からのアニメーションを取り巻く環境の変化と特徴】

セルルック3DCGアニメーションの本格的採用

初音ミクをはじめとするボーカロイドキャラクターと関連コンテンツの発展

アニメコンテンツの多様化、タイアップ・コラボ商戦の発展

ライブ、聖地巡礼などの体験型イベントの定着化とおたく文化&イメージの変化(内から外へ)

ウェブ配信の拡大など

 

2011年(平成23年)

1月 「魔法少女まどか☆マギカ」(~4月)

事前情報を極力伏せたうえでの「魔法少女」というタイトル、穏やかな作品イメージのある蒼樹うめのキャラクターに、ファンは当初可愛らしい王道魔法少女アニメと思っていたところで第3話の衝撃的展開は大きな注目と賛否両論が視聴者、評論家、マスコミともに巻き起こり、彼女たちを見守り、アドバイスしてくれるマスコットキャラとしてみていたキュゥべえに対し、視聴者はストーリーが展開されるにつれ不信感と嫌悪感を抱いてゆくという、あらゆる面で視聴者の期待の裏をかくダークファンタジー魔法少女作品 予想を覆す脚本を構成した虚淵玄にも幅広い層から注目が集められた 独特な世界観描写に新房監督のシャフト作品独特の表現手法や魔女や魔獣パートを担当した劇団イヌカレーの独得のデザインや美術、張り詰めた空気感を演出する劇伴パートを担当した梶浦由記の生み出した楽曲の世界観や雰囲気は数多くのファンのインパクトを与える作品となった

第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞(TVアニメ初)

Newtype×マチ★アソビ アニメアワード2011 作品賞

東京国際アニメフェア2012 第11回東京アニメアワード 

テレビ部門、個人部門監督賞、個人部門脚本賞

アニメーション神戸賞作品賞・テレビ部門ほか多数受賞

 

27日

「放課後のプレアデス」 ウェブ公開(全4話 YouTube配信 TV版は15年4月~6月)

自動車メーカー スバルとGAINAXによるオリジナルアニメ作品 職種が異なる企業による異業種コラボではあったが「ものづくりへの誇り、それを突き通すスピリッツ」をキャッチコピーに制作プロジェクトが進められた 自動車企業とのコラボだからクルマをメインに登場させるという判断はせずに、より自由でオリジナリティーに溢れる作品づくりがなされた YouTube配信版 📺

 

4月 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」 

劇中に登場するじんたん達のチーム名「超平和バスターズ」をアニメーション制作チーム(長井龍雪・岡田麿里・田中将賀)に命名 2015年公開の映画「心が叫びたがっているんだ。」にも原作クレジットされている 舞台となる秩父市を走る西武鉄道が積極的にタイアップ展開に協力し、地域アニメと聖地巡礼イベントを後押しした事例は鉄道事業としてのコラボ展開としては早い部類

 

「TIGER&BUNNY」(~9月) 📺

ヒーロー姿のキャラクターシーンに積極的に3DCGを導入

ヒーローごとに実際にスポンサーロゴを募集したコラボ展開も注目された

 

「花咲くいろは」(~9月) 📺

P.A.WORKS 10周年記念作品 「働く女の子」シリーズ第1作

アニメ本編上で描かれた「ぼんぼり祭り」が「湯涌ぼんぼり祭り」として実際に開催し、地域振興に貢献

 

「プリティーリズム・オーロラドリーム」 (~12年3月) 📺

タカラトミーとシンソフィアが共同開発した少女向けアーケードゲーム「プリティーリズム」を原作にメディアミックス展開 アニメ―ション面では本編パフォーマンスシーンでキャラクター3DCGを本格的に採用 TVアニメでは早い導入 アイドルとフィギュアスケートをモチーフにパフォーマンスするプリズムショーも特徴的で第3期レインボーライブ(2013年4月~14年3月)まで引き継がれた 3DCGならではの滑らかなパフォーマンスとダイナミックなカメラワークで構成されたパフォーマンスシーンはこれまでのTVアニメにない迫力と華やかさを生み出した

 

7月 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」(~9月) 📺(メインテーマ)

原作は女性向け恋愛ゲーム アニメ化、ラジオ、CD、ライブコンテンツなどアイドルの役を担ったキャスト声優を軸にメディアミックスを展開 それまで女性ファンはグッズ購入では男性よりも消極的と考えられていた認識を変えた作品

 

「コクリコ坂から」

宮崎親子共作長編映画 これまでの広告展開に加え、KDDIとの初めてのタイアップやジブリの見習いプロデューサーとなった当時ドワンゴ会長の川上量生も話題に ネットに秀でた同社と連携した宣伝も行われた

 

「THE IDOLM@STER」(~12月) 📺(OP)

原作ゲームの世界観に則したプロデューサーと765プロ所属のアイドル達の活躍を描く青春群像劇 ゲームのほか、コミック、キャストによるラジオ、ライブコンサートなど幅広いメディアミックスも行われている 主役を決めず、各話で中心となるキャラクターはいるが最後は765プロで終わる展開を心がけたという 参考(電撃オンライン)

 

10月 「Fate/Zero」(~12年6月) 📺(PV)  虚淵玄による同人誌としての小説が原作 監督 あおきえい  キャラクター原案 武内崇  3D監督 宍戸幸次郎

 

12月 「映画けいおん!」

第35回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞 深夜アニメからの劇場版作品としては初の快挙

Newtype×マチ★アソビ アニメアワード2012作品賞 (劇場上映部門)

 

そのほかの出来事

3月 東日本大震災

 

【コラムっぽいもの】

『セルルック3DCGアニメ全盛期前に起きていた事象について』

 

2012年(平成24年)

1月 「輪廻のラグランジェ」(1期~3月 2期 7月~9月)

ロボット=オービットのうちウォックスシリーズのデザインを日産自動車に所属するカーデザイナー60名によるデザインコンペを経て制作 千葉県鴨川市と連携した地域振興戦略も注目された。コチラ(クローズアップ現代)

 

2月 「ブラック★ロックシューター」 (~3月 全8話) 📺  

2007年、pixivやニコニコ静画で投稿していたイラストレーターのhuke制作画像にクリエイターグループsupercellのryoがインスパイアされ制作したボカロ楽曲をきっかけに創作の輪が広がり、OVA、フィギュア、アニメ、ゲーム、コミックとメディアの枠を越えたコンテンツが生み出された

 

3月 初音ミク「Tell Your World」Music Video 作詞・作曲 kz MVディレクター wakamuraP ファンタジスタ ウタマロ TAKCOM

lat式MMD初音ミクと各クリエイターとともに制作された3DCGアニメーションMV 同曲はGoogle ChromeのCMソングに採用 📺 ネットを介してつながる創作の輪の発展が一つのマイルストーンに達した 以降、初音ミクと企業・団体とのコラボ・タイアップが本格的に進展

 

 

TV番組企画でお笑い芸人・パラパラ漫画制作で知られる鉄拳の制作した「振り子」が国内外で高い評価を集める 番組内BGMに使用された英ロックバンドMUSEにも伝わり、その縁でMV制作も担当した

 

 

7月 「おおかみこどもの雨と雪」

細田守監督はこの映画制作に新たにスタジオ地図を設立

 

「探検ドリランド」 (~13年3月)  制作 東映アニメーション

グリーのソーシャルゲームを原作にしたTVアニメ作品でテレビ東京系列で放送

 

dアニメストア提供開始

 

10月 「ジョジョの奇妙な冒険」(1st~13年4月)

OPやスタンドのアクションシーンに3DCGを積極的導入

アニメーション制作はdavid production、3DCG制作は主に新風動画が担当

 

「ガールズ&パンツァー」(~12月 第1話~第12.5話) (13年3月 第11・12話)

戦車を伝統的な武道として競技化された世界で女子高生たちが戦車道を極めんとする一見荒唐無稽ともいえる設定ながら、ミリタリーと萌え、学園スポーツものの要素をうまくミックス 舞台モデルとなった茨城県大洗町での交流イベント(大洗あんこう祭での関連イベント)が地域アニメとしての面でも注目を集める 緻密かつ実際の戦車操作に則した描写で、ミリタリー好きの高齢ファンも獲得 2015年11月には劇場版上映 戦車と戦車道の試合となる場所はほぼ3DCG

 

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」 

前編 始まりの物語が10月6日、後編 永遠の物語が10月13日公開

 

HIDETAKE TAKAYAMA Music PV 「Express feat.Silla(múm)」  

楽曲 HIDETAKE TAKAYAMA  制作 TRANSISTOR STUDIO

「銀河鉄道の夜」の世界をフル3DCGで制作したMV

 

11月 「エヴァンゲリヲン新劇場版Q」

ニアサードインパクト(エヴァ初号機の覚醒)から14年後の世界を描く完全新作 特撮短編映画「巨神兵東京に現る 劇場版」との同時上映。配給はカラーとTジョイ 

2012年興収2位のヒット作 エヴァンゲリヲン新劇場版:Qのテーマソングに宇多田ヒカル「桜流し」

 

12月 「K」(~12月) 原作 GoRA×GoHands  監督 鈴木信吾

GoHans作品特有の独得のグラデーションによる色調、光線素材、ワイドレンズ再現、背景3DCGを積極的に取り入れているオリジナルアニメ作品

 

冨田勲「イートハーブ交響曲」に初音ミク出演 📺

 

日印合作の「巨人の星」リメイクアニメ「スーラジ・ザ・ライジングスター」がインドで放送開始 📺

各プロデューサーは日本人で構成 制作はトムス・エンタテインメント

日印国交樹立60周年記念企画とクールジャパン戦略モデル事業の要素も含まれていた

インド国内の主流スポーツを考慮し、巨人の星での野球からクリケットへ変更

同年に新たに制作された「ハットリくん」がシンエイ動画とインドのアニメ制作会社が共同制作し、インドで放送 制作背景に高度経済成長とユーザー拡大によるコンテンツビジネスの可能性が期待されている

 

「009 RE;CYBORG」

劇場版セルルック3DCGアニメ作品で日本の2Dアニメ特有のメリハリの利いた動きにも意識して制作 3DCGならではの立体感も意識して作られている 当初、押井守が監督を務める予定だったがフォトリアル3DCGでの制作を考慮していた キャラクターを広告塔としたコラボCMも制作 📺 (CM)

 

「ONE PIECE FILM Z」  原作 尾田栄一郎  監督 永峯達也  脚本 鈴木おさむ

総合プロデューサー 尾田栄一郎  主題歌にアヴリル・ラヴィーン、OPミュージックに中田ヤスタカ起用。尾田栄一郎描きおろし第千巻を含む先着特典も話題となり、興収68.5億円を記録

2012年劇場アニメ興収第1位を獲得

 

2013年(平成25年)

1月 「ラブライブ!」 (1期 ~3月  2期 14年4月~6月 )

2010年アスキー・メディアワークス、サンライズ、ランティスによるメディアミックスプロジェクトとしてスタート 電撃G'sマガジンによる読者参加型企画からグループ名、ユニット名、楽曲センター総選挙、イメージキャラクター選挙など、あらゆる企画を読者、ファンの応募によって進められるプロジェクトが好評を得、キャストメンバーによるアニメPV・本編ダンス振り付けを忠実に再現した2.5次元ライブも注目 各種ゲームコンテンツによる新たなファン層獲得とキャラクターデザインに抜擢された室田雄平の描くキャラクターとキャスト・関連コンテンツの人気から男女問わず熱狂的な人気を集めている

ダンスパートではこれまで発売されたPV同様、キャラクターは2Dと3DCGによるハイブリッド方式を導入 2期にかけてあらゆる3DCG制作会社との共同制作が進められた

各関連コンテンツに連動した幅広いタイアップ・キャンペーンのシナジーにより、若い世代を中心に社会現象に発展 海外でのファンイベントも展開

2012年から15年にかけての3DCGダンスパフォーマンスについての記述はコチラ

 

「惡の花」(~6月) 押見修造作の原作漫画を長濱博史監督によってTVアニメ作品としては初となる全編ロトスコープ方式で制作 セル調アニメには無い独得の雰囲気を生み出している 動画制作に際し、徹底した手描き(ペンタブを使用しない)方針がとられた 📺

 

企業CM「鳩に困ったら雨宮」公開 📺

広告代理店 新東通信とAC部による企業CM 極めて特異なインパクトを与えるCMとしてネットユーザーの注目を集める

 

「宇宙戦艦ヤマト2199」(~9月)

1974年放送の「宇宙戦艦ヤマト」以来、38年ぶりのリメイク作品

TV放送に先駆け、先行上映会→TV放送→劇場版「宇宙戦艦ヤマト 追憶の航海」、「星巡る方舟」の順で公開

 

「進撃の巨人」(~9月 2期 17年4月~)

講談社過去最高全世界5500万部発行別冊少年マガジン連載 諌山創原作漫画のアニメ化作品 アニメ化では残忍なシーンがあることを懸念され、当初は出資社が集まらない、放送希望キー局から断られるなどの苦労もあったという 1期は夕刻時間帯での放送だったことから、アニメーション表現に出来る限り配慮 ヒット展開に転じ、ストーリーに登場するキャラクターの特徴を活用したタイアップキャンペーンを展開 劇場版も公開されるなどシリーズ化につなげることに成功 JRAタイアップ映像はできる限りTVアニメでの映像を活用し制作 バトルアクション要素が強い作品ではあるが実は女性ファンの多い作品

 

5月 「言の葉の庭」

新海監督5作目となる上映時間46分劇場用アニメーション映画作品

靴職人を目指す高校生の孝雄(cv.入野自由)と公園で出会った謎めいた大人の女性百香里(cv.花澤香菜)との梅雨の間だけの淡く切ない「孤悲」を綴った映像私小説的作品(同作品は小説連載も実施) 梅雨の季節特有の湿度や匂いまでも感じさせるような繊細な情景描写と膨大な数の雨粒描写、彼らの心情とセリフに合わせて身体に照らされれている環境光などの描写・演出も際立つ作品 全国23館での上映開始だったが、好評により公開館数拡大

新海監督自らマーケティング展開の企画を提案し、絵コンテではイメージ表現で写真も使用 公開劇場で同作品の円盤発売も行われた 劇場公開では短編作品「だれかのまなざし」(6分)との同時上映

シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭長編アニメーション部門グランプリ受賞

 

7月 「風立ちぬ」

宮崎駿にとって初の実在する人物をモデルにした長編アニメーション映画 堀辰雄の小説「風立ちぬ」からも着想を得ている 劇中、蒸気機関車や地震発生時の音を肉声で表現する試みも確認できる これまでのエンターテインメント性あふれた作品に比べると、日本の史実と実在の技術者 堀越二郎へのオマージュも含め、リアルさを背景にした作品としての個性がジブリ作品 宮崎監督作品のなかでも特に際立っている 主人公堀越二郎の声を庵野秀明が務めたことも話題に 興収は120億円に達した

第37回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞

 

9月5日 TVアニメ「サザエさん」世界で最も長く放映されているテレビアニメ番組としてギネス記録認定

29日 ~セル画アニメの終焉~

「サザエさん」本編セル画制作話放映終了 10月から完全デジタル制作に移行し、国産TVアニメはすべてデジタル制作となった

 

10月 「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」(~12月)

岸誠二監督がほぼ全編にわたるフル3DCG(セルルック)での制作を提案し、制作をサンジゲンが担当 キャラクターも含めたセルルック3DCG採用TVアニメでは最初期にあたる

 

「キルラキル」(~14年3月) 📺  原作・脚本中島かずき、監督今石洋之 キャラクターデザイン・総作画監督 すしお 音楽 澤野弘之

「天元突破グレンラガン」主要制作スタッフが独立しTRIGGER設立(2011年8月)初のオリジナルテレビアニメ作品 昭和感のあるアニメテイストと3DCGを巧みに組み合わせ、服飾をキーワードに疾風怒濤の展開とバトル描写 大胆な文字演出、個性的なキャラクター達の情熱的かつテンポの良いやりとりが人気を集めた

 

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」

脚本・作画すべて完全新作 最終興収は20.8億円を記録

 

「凪のあすから」(~2014年4月) 制作 P.A.WORKS

海と陸に住む思春期の少年少女たちの5年間が描かれている。揺れ動く心を繊細なストーリー、丁寧なアニメ―ションと背景画・撮影、音楽が見事に組み合わさって表現されたファンタジー作品

 

11月 「かぐや姫の物語」 

高畑勲監督作品では14年ぶり(「ホーホケキョ となりの山田くん」以来)であり、制作8年、製作費は50億円を超える この作品のためにスタジオジブリに新たに第7スタジオを設立し、優れたアニメーターを招集 肉筆感を重視しつつ、程よい隙間も活かしていることから塗りは一コマずつ調整しながら施している プレスコ方式も採用 大変な手間と労力によって生み出された高品質なアニメ―ション作品 「風立ちぬ」との同時上映を考慮されていたが制作スケジュールの都合により同年発表に至った

 

 

2014年(平成26年)

1月 「THE IDOL M@STER 輝きのむこう側へ!」 📺(本予告)

 

日本テレビ放送網がタツノコプロを子会社化

 

アニメ「妖怪ウォッチ」放送開始

キャラクターデザインを担当した須田正巳は1967年放送「マッハGoGoGo」以降の歴代作品に参加しているベテランアニメーター

 

3月 Anime Japan2014開催 東京国際アニメフェアとコンテンツエキスポを発展的統合

日本2.5次元ミュージカル協会設立 斬新な演出と海外鑑賞者にも配慮した柔軟な施策で人気が向上 新たなエンターテインメントコンテンツに成長

4月1日 株式会社 エイベックスピクチャーズ設立 TOHO animation(アニメ事業室)設立

 

「シドニアの騎士」(1期~6月 2期 15年4月~6月) 📺

ポリゴンピクチュアズ設立30周年記念作品 同社が日本のアニメ作品に本格的に進出した作品 3DCGに長けたポリゴン・ピクチュアズならではのフル3DCG作品で、日本漫画原作キャラクターを考慮したセルルックにも挑戦

 

「たまこラブストーリー」 監督 山田尚子  脚本 吉田玲子  制作 京都アニメーション

TVアニメ「たまこまーけっと」の劇場アニメ版作品 「映画けいおん!」で導入したカメラレンズ・光線演出をより効果的に活用 第18回文化庁メディア芸術祭新人賞受賞

 

7月 「思い出のマーニー」  米林宏昌監督作品 

当作品公開後スタジオジブリ制作部門を休止することを発表(※2017年5月に宮崎駿監督新作長編映画制作発表により新人アニメーターを招集開始) 作画監督を担当した安藤雅司は脚本(米林宏昌・丹羽圭子と共同)も担当 第88回米アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネート

 

「みならいディーバ」(~9月)  監督石ダテコー太郎  製作総指揮 吉田尚記(ニッポン放送) 📺

キャラクターデザイン 足立慎吾  アニメーション監督 cort  アニメーション制作 ヤオヨロズ

世界初の生放送アニメ(推定) 番組のレギュラーメンバーはフル3DCGとモーションキャプチャーで番組進行 時折、生放送ならではの不具合にも直面するハプニングも見受けられた

 

8月 「STAND BY ME ドラえもん」

劇場版シリーズ初となるフル3DCG作品であり、藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品

第38回 日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞

尖閣諸島漁船衝突事故以降、邦画上映が禁止されていたが、冷え込んでいた日中関係が持ち直した後、初めて中華人民共和国で上映された邦画作品

 

10月 「山賊の娘ローニャ」 (~15年3月) 📺 アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ

宮崎吾朗監督初のTVアニメ キャラクターはフル3DCGで制作 

「神撃のバハムート GENESIS」(1期~12月) Cygamesによるソーシャルゲーム原作

ふんだんに活用された迫力ある3DCG描写が話題を集めたTVアニメ作品

 

11月 「楽園追放 -Expelled from Paradise-」

企画・製作 東映アニメーション、原作 ニトロプラス・東映アニメーション、制作グラフィニカ

脚本 虚淵玄(ニトロプラス)、監督 水島精二によるセルルック フル3DCGアニメ映画

モーションアドバイザーに板野一郎参加 作画感と3DCGの特性を活用した映像表現手法に挑戦

 

日本アニメ(―タ―)見本市設立 

企画立案者は庵野秀明、エグゼクティブプロデューサーは川上量生

11月7日より一定期間ごとに毎週1話(1作品)を期間限定で公開 同月より制作者、関係者、アニメ・特撮研究家 氷川竜介を交えての解説、トーク番組「日本アニメ(―タ―)見本市同トレス」も作品ごとにニコニコ生放送ライブ配信された

 

そのほかの出来事

5月 株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴが経営統合

 

2015年(平成27年)

宮崎駿監督がフル3DCG短編映画作品「毛玉のボロ」を制作発表

 

仏日韓合同アニメ作品「THE MIRACLOUS TALES OF LADYBUG AND CAT NOIR!」 📺

フランスのZAG Toon、日本の東映アニメ―ション、韓国のSAM-Gの3社参加アニメプロジェクト 当初、作画バージョンとフル3DCGバージョンによるデモアニメーションを制作し、東映アニメーションが作画バージョンを制作したが、結果的に3DCGバージョンでの制作決定 2015年より世界120か国で順次公開

各国のアニメ関連会社とタッグを組んでコンテンツ展開を行う事例はまだ少なく、今後のグローバルメディアミックスモデルの可能性を有する作品 ※全著作権所有はZAGアメリカ

 

2月 「花とアリス殺人事件」  原作・脚本・監督 岩井俊二  

岩井俊二監督初の長編アニメ―ション映画であり、3DCGとロトスコープを採用 アリス役は蒼井優、ハナ役を鈴木杏が担当 2004年公開「花とアリス」キャストを採用し、演技をロトスコープ化

第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞

 

4月 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」シリーズ開始

原作漫画を手掛けた安彦良和を総監督に迎え、人物描写は作画スタイルを継承し、モビルスーツや戦艦、コックピット、エフェクトなども積極的に手描き時代ガンダムの作画質感にこだわったセルルック3DCG技術を導入 モビルスーツのセルルック3DCGに際し、トヨタとのコラボ企画シャア専用オーリス映像の成果が本作品に活かされている

 

「響け!ユーフォニアム」(1期~6月) 原作 武田綾乃  監督 石原立也

吹奏楽部の活動を描いた物語 楽器演奏シーンは実際の演奏にあわせて忠実に再現し、京都アニメーションならではの高いクオリティをTVアニメで実現 舞台となった京都宇治も聖地巡礼地として注目

 

5月 「百日紅~Miss HOKUSAI~」  原作 杉浦日向子「百日紅」  監督 原恵一  脚本 丸尾みほ  キャラクターデザイン 板津匡覧  3DCG ダンデライオン  制作 Production I.G  

江戸の絵師葛飾北斎と娘の栄、その仲間たちの日常と不思議な出来事を描いた作品 時代劇ものにあたる設定ではあるが、絵師の制作姿はアニメーションの相性の良さを感じさせる

海外でも高い評価を得て、アヌシー国際映画祭長編アニメーション部門審査員賞

第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品に選出

 

6月 「ラブライブ!The School Idol Movie」

アニメ版(μ's)活動の集大成となる作品。週末興行ランキング動員数3週連続1位、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、第33回ゴールデングロス賞優秀賞ほか受賞

累計動員数200万人以上、最終興行収入は28.6億円 深夜アニメ発劇場アニメ映画新記録を樹立

 

7月 「バケモノの子」

前作「おおかみこどもの雨と雪」公開後、子供が生まれ父親になった細田監督が子育てや子供の成長にクローズアップした作品を作りたいという思いからスタート 王道の冒険活劇に現代社会の不安要素と子どもの成長と学ぶことの意味も組み込まれた細田作品としての個性が際立つ 舞台は人間界・化け物界ともに渋谷区を出ていない最小範囲で活動している

最終興行収入は58.5億円。親子やカップルでの鑑賞が多かったことも要因と考えられる

第39回日本アカデミー大賞 最優秀アニメーション作品賞受賞

第33回ゴールデングロス賞 日本映画部門 優秀銀賞ほか受賞

 

8月 声優ミュージアム開館 初代名誉館長は大平透

9月 一般社団法人 アニメジャパン設立

10月 「おそ松さん」(~16年3月)

原作者 漫画家の赤塚不二夫生誕80周年記念作品として1988年版の「おそ松くん(2代目)」から27年ぶり3度目のアニメ化 制作は2代目を制作していたスタジオぴえろが担当

人気実力派声優陣を揃え、女性ファンの注目を集める 六つ子グッズ展開、キャスト陣のイベント、コラボキャンペーンなど多角的に展開

 

2014年頃より女性ファン向け声優コンテンツ作品「少年ハリウッド」、「スタミュ」、「美男高校地球防衛部LOVE!」等アイドル系作品が多数制作され、キャストによるライブコンサートも視野に入れたメディアミックスによるエンターテイメントコンテンツが浸透

 

10月 「モンストアニメ」配信開始 XFLAG配信ゲームアプリが原作 📺

ほぼすべての制作工程をペーパーレス化(1st~2nd)、YouTube全世界全話無料配信を実施

 

アメリカ合衆国のオンラインDVDレンタル、映像ストリーミング配信会社NETFLIX日本配信サービス開始

 

2016年(平成28年)

3月 AnimeJapanにて「日本のアニメーション100周年プロジェクト」発表

7月 「ラブライブ!サンシャイン!!」(1期~9月/2期 2017年10月~12月)

オールメディア展開・聖地巡礼地域振興・海外展開とより大きなエンターテインメントコンテンツに成長

※海外向け限定公開映像

 

8月 「君の名は。」

新海誠監督劇場版作品6作目 これまで制作された作品のノウハウをうまく活用し、新海作品としては明るい方向へシフトさせた集大成かつ新境地的作品

2017年1月21・22日時点で国内累計観客動員1800万人を突破 12月6日で国内興収200億円を突破し、2017年5月14日時点で興収249.4億円 その上位にある邦画作品はスタジオジブリ制作「千と千尋の神隠し」(興収304億円)のみ 国内興収歴代4位 海外133か国と地域での公開予定 アジア圏では日本、中国、香港、台湾、タイで初週興収1位の5冠を獲得 ハリウッドでの実写映画化も決定

スタッフ陣は作画監督に安藤雅司、さらに黄瀬和哉、沖浦啓之と錚々たるメンバーが参加 キャラクターデザインを担当した田中将賀はZ会CM作品「クロスロード」での制作以来のタッグ 今作品で新海誠監督はデジタルコンテを積極的に活用 毎日15時間費やしたという 最終的なカット数は1650、総作画枚数6万枚に至る 新海作品の特徴でもある撮影工程での情景的色合いの調整も施され、「目が嬉しい画」を意図して制作されているほか、膨大なレイヤーと手間をかけて構成された「タイムラプス」は必見

楽曲面では若い世代に注目を集めはじめていたRADWIMPSを起用し、脚本段階から楽曲制作を開始 計27曲制作し、うち4曲がボーカル曲 映画作品の世界観にあわせるように新海監督と打ち合わせしながらの共同作業であった 当作品では新海誠執筆による小説版が劇場版公開に先駆け発売

9月 「聲の形」

原作は大今良時の同名コミック 監督は映画「けいおん!」、「たまこラブストーリー」の山田尚子

思春期直前の小学時代から真っ只中の高校時代にかけての繊細な心境・感情表現にアニメーションとキャストの演技、背景、レイアウト、撮影効果等が最大限に活かされている

エンターテインメントとしてだけない、ヒューマンストーリー・ラブストーリーとしての面も多く含まれており、あらゆる面で考えさせられる深みのある作品 山田監督の意向によって手話の動作にも工夫と配慮がなされている

 

「レッドタートル ある島の物語」

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫とアーティスティック・プロデューサーに高畑勲、監督にオランダ出身マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット、フランスの映画製作・配給会社ワイルドバンチという国際的なスタッフで作られた作品 セリフは感情を露にしたシーン以外ほぼ無いが、見事なアニメーションによって確固たる個性と品質をもった作品 第69回カンヌ国際映画祭 ある視点部門特別賞ほか受賞

 

10月 「ユーリ!!! on ICE」

フィギュアスケート振付師による実際の演技を参考に競技シーンをすべて作画で制作 17年9月に4DX版上映

 

11月 「この世界の片隅に」 ※2019年も公開中

原作はこうの史代による漫画で片淵須直監督がアニメ映画化を希望したことからプロジェクトが始まり、「クラウドファンディング」で圧倒的な支援を獲得したことも注目を集めた

制作に際し、舞台なる広島県呉市と広島市内の戦前・戦中の文献・資料を確認し、町並みから生活、風土の記憶、に至るまで入念に調べ、ロケハンや考証作業が行われている シーンの空間における環境音までも妥協なく再現 何気ない当時の日常生活から少しづつ戦局の悪化によって失われる、ものごとの悲惨さもしっかりと表現された奥行きのある作品

平成28年文科省特別選定映像作品に選出 2016年第90回キネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位獲得 片淵須直監督も監督賞受賞 第40回 日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞作品

 

12月 「ポッピンQ」  東映アニメーション創立60周年記念作品

劇場公開される新作長編アニメーション映画としては99年の国内アニメーション歴史のトリを飾る作品

 

12月 「アニメNEXT100」キックオフシンポジウム開催

 

バーチャルYouTuber キズナアイ 活動開始 

 

 

2017年(平成29年) ※データ容量の都合上、注目作品のごく一部を自分なりに紹介します

 

日本のアニメーションの歴史(商用およびストーリー作品)が100年に達する

 

1月 「傷物語Ⅲ 冷血篇」公開 (1月6日) ※傷物語シリーズの完結編

記念すべき日本のアニメ―ション映画(商用作品)100年目第1作。シャフト40周年作品

 

「正解するカド」 

東映アニメーションが10年先に観ても面白い作品を目指し制作された意欲作 カドはマンデルボックス式3Dフラクタルを採用し、「中身のある3DCG」を実現 ゲームエンジンUnityも導入 ザシュニナの生み出す人類を遥かに超えた、誰も観たことの無いような表現に貢献

 

「けものフレンズ」 TVアニメが大ヒット 主題歌を歌うどうぶつビスケッツxPPPも大活躍

 

「夜明け告げるルーのうた」 湯浅政明監督作品

アヌシー国際アニメーション映画祭 長編部門 グランプリ・クリスタル賞受賞

 

ハチ MV「砂の惑星 feat.初音ミク」

初音ミク関連イベント公式MVで全編本格アニメMVが採用 初音ミク10周年を迎える

 

22/7 『僕は存在していなかった』  秋元康総合プロデュース、タツノコプロ制作によるMV

アニメMVでは初となるアイドルグループ「ナナブンノニジュウニ」メンバー自らモーションアクターとして制作参加※ ダンス・演技をモーションキャプチャーによって、そのままキャラクターの動きに反映

※ゲーム分野では「ミラクルガールズフェスティバル」でのWake Up,Girlsの実績もある 参考 コチラ

 

「宝石の国」 

宝石の質感を保つ肉体や月人との戦闘など、これまでの概念にないような表現をアニメ―ションで実現

 

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 

DAOKO×米津玄師 「打上花火」MV YouTube3億再生突破※(アニメMV史上最多再生数 19年9月時点)

 

 

日本のアニメーション100年の歴史、いかがでしたでしょうか?

紹介した作品は全体のほんの一部ですし、皆さんがお勧めしたい作品もきっと数多くあるはずです。

 

100年の歴史を年表形式で軽くまとめてみましたが、草創期当初から国内外作品を意識しながら制作・上映・放送・宣伝・マーケティングまで、創意工夫と追及する姿勢が絶えず続いている点は実に日本人の気質にフィットしていたように思えます。映像技術やインターネット技術の向上など、観賞環境の変化にも対応し、時にアートやエンターテイメントコンテンツをリードするほどの力を持つようになったことは、日本のアニメーションの製作スタッフ・制作者(スタッフ)・受け手側(ファン)の只ならぬ熱意と逞しさを感じさせます。

 

これから先の未来、映像・アニメーション制作技術やSNSなどのネットサービスの進歩によるユーザーの感性の変化に対し、いかに作品として呼応してゆけるかが重要と思いますが、いつの時代も普遍的な魅力は変わらないと思いますので、今後も感動させる、楽しめる作品を観てゆけたらと願っています。

 

今後は国際展開と各国・地域でのアニメ―ション制作の発展、アニメスタイル(作画・3DCG・セルルック)の進展具合は広く目に見える形になってゆくと思われます。国内人口減少と社会意識の変化に伴う制作労働環境の変化も避けられない課題と考えています。

 

2017年以降の年表制作は今後時間を要する見込みですので公開時期は未定です。

ラストに「アニメNEXT100」スペシャルムービー122作品一挙紹介とともに締めくくらせていただきます。

 

 

 ここまでご覧いただき、本当にありがとうございました。to be continued…🌈