図書館で偶々目にした窪薗晴夫/著「数字とことばの不思議な話」(岩波ジュニア新書 2011.6)を読んでいたら、次のコラムがあった:
≪金田一秀穂氏の講演で面白い話を聞いた。一日は24時間であるが、言葉の使われ方に於いては、次のように必ずしも同義ではない場合がある:
(a)1日おきに薬を飲む
(b)24時間おきに薬を飲む
(a)の場合は二日に1回飲み、(b)の場合は毎日飲むという意味になるだろう。(これはおかしいのではないかという問題提起と思われるーーー当ブログ管理人)≫
この(1日は24時間と同義ではない場合があるという)話題は、つい最近何かで読んだ記憶がある。やはり金田一氏の講演の記録だったと思う。同氏はこのネタを得意として長年にわたり愛用しているようだ。
確かに(a)、(b)のように対比して示されると一瞬、これは変だ、日本語が不正確なのかと思わされる。
当方思うに、(a)では時間単位が「1日」であり、(b)では「1時間」が単位であることが決め手である。
(a)1日おきに薬を飲む 飲む行為の間に1日置く。飲む時刻は所定とする(幅を持たせない)。
(b)24時間おきに薬を飲む 飲む行為の間に24時間置く。飲む時刻は所定とする(同)。
二つの表現の意味することに違いの有るのは当然で、少しも変ではない。
聴き手を煙に巻くには格好の話題であり、金田一氏の得意技として一目置くに値する。聴き手としてはボケ老人の括りに安住せず、自分の頭で考えるように努めよう。