北国の駅ビルの通路で、お祭衣装の劇団わらび座団員5名(男1、女4)による笛、鉦、太鼓など鳴り物入りの歌と踊りを見た。
駅ビルに新規開店した料理屋の宣伝であった。わらび座がチンドン屋紛いのことをするのかと少し驚いた。しかし、配布チラシを読むと、出店母体が同座であった。
全国営業の株式会社である同座は、演芸部門だけでなく、宿泊、物販、飲食など娯楽関連の事業を幅広く手掛けており、商売上手の印象もある。
今日の演目は、東北、山陰などの伝統芸能で、踊りには花笠、お盆などの小道具を使っていた。
獅子舞ならぬ虎舞(トラマイ)なる演技があることを知った。勿論、虎に扮して踊るのだが、最後に虎の扮装を脱いで美人がにっこり微笑むとひときわ大きな拍手が湧いた。
盆舞(ボンマイ)は、両方の掌にお盆を載せ、腕を曲げたり、回したりする曲芸で、掌が横向きや下向きになってもお盆が落ちないところがミソである。
動きが速いときに落ちないのは解るとしても、逆さにしたまま停止しているように見えるのは、如何なる仕掛けなのか。
途中で一度だけお盆を落としたのは、演技のひとつだろう。説明役が、「お盆が落ちましても、ヤクオトシ(役・厄落し?)、すなわちエンギガイイ(縁起・演技がいい)ということで、拍手・喝采を」のようなことを述べていたから、筋書き通りなのだろう。
この掛け言葉に気が付いたのは、帰宅した後だった。