『坂の上の雲』~戦争美学~リュウゼツランに蟻 | 愛唱会ジャーナル

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親切な同僚が文春臨時増刊号(2009.12)「『坂の上の雲』と司馬遼太郎」を貸してくれた。読書家とは言えない当管理人が、何周遅れかで読んでも、日清・日露戦争を軸に明治時代の軍人の「活躍」を様々な角度から、様々な人が論じており、面白い。
 
有名な事件、人物についての解説だけでも十分に読み応えがある。日本(人)が外国(人)をやっつけると言う筋書きを喜ばない日本人もいないだろう。
 
激動の時代の歴史を国際的な視野で描くスケールの大きい小説を物した司馬の力量には脱帽するばかり、とは言っても、未だ読んではいないのだが。多分生きているうちには読まないだろう。もう大体筋書きが分かったから。
 
実は20年ほども前に全巻買って読むばかりのところだったのだが、偶々陋屋に溢れんばかりの蔵書をトランクルームに預けるタイミングとなり、そのまま日の目を見ることがなくなった次第。いずれ遺族がごみ同然に処分することになる。
 
ところで、この増刊号は、N○K・TVの大河ドラマ(?)放映の話題に合わせて売りまくろうとの魂胆で発売したものと思われるので、当然ながら、基調として、その小説やTVドラマに描かれる事件が如何に歴史上重大であるか、活躍する英雄群像が如何に素晴らしいかを述べている。
 
戦争の有意義なこと、軍人の活躍が日本人の誇りであること、もっと勝つにはどうすべきであったかなど、解りやすく、面白く書かれている。
 
戦争美学などという分野があるかどうか自信はないが、一種の美意識で貫かれているように思われた。高ずれば戦争を美化する道に嵌るのではないか。
 
過去の歴史や人物をどのように描き、評価するかは個人の自由である。しかし、マスコミ、特にTVが大衆の意識・無意識に及ぼす絶大な影響力に鑑み、武人、軍人を英雄視し、戦争を美化し、勇壮なものとして伝えることが国の、国民の進路をどのように左右するのか、気懸かりなことだ。杞憂に過ぎないことを祈る。
 
ご近所のリュウゼツランの太い花茎(花塔?)を黒い蟻が這い登るのを見た。目的の花の位置を地上3メートルと低めに見積もっても、人に喩えれば、今話題の新電波塔をよじ登るのに匹敵する。
 
蟻は高所の花の蜜をどうやって感知出来るのか。少量の蜜が花から零れて、茎を伝い落ちているのか。
 
今日も三々五々、カメラを手にした人たちが珍しい花を見に来ていた。花は今週でお終いだろう。結実の結末を気にする人が他にもいるだろうか。
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