山の日
朝日新聞の朝刊 8月10日(土)
オピニオン&フォーラム
インタビュー 登山道を守る意味
生態系に触れる
感受性を取り戻す
自然観が育まれる
山小屋経営者 伊藤二郎さん
雲の平山荘を経営しています。
私の大学時代、夏山ジョイという雑誌がありました。そこの表紙に雲の平が掲載されていました。
登山道の整備は、これまで各地域の山岳会や山小屋が自主的に担ってきました。しかし、山岳会は高齢化し、山小屋も物価高騰や人手不足から整備がままならなくなりました。集中豪雨や猛暑などの異常気象も影響し、いたるところで道の荒廃に起因する土壌や植生の侵食が起きています。ひとたび道を作れば、道に利用の負荷がかかり、整備し続けないと、道から崩壊します。
中略
いまの国立公園では、世界遺産と同じで観光政策ばかりが目立ちます。経済を優先し、利用と保護とのバランスを熟慮してこなかったのです。欧米の自然保護制度は社会的な合意の中で成立しました。例えば英国の自然保護は、産業革命で生活環境が急激に破壊されるなか、『慣れ親しんだ風景や文化を残したい』とか『生態系を守りたい』と、芸術家や学者、労働者など、様々な立場の人が意思を表明したことが出発点でした。この多様な価値の攪拌(かくはん)こそが重要です
私は、大学を卒業しまして
すぐに社会人の山岳会に入りました。
去年の3月に山岳会、解散しました。
ほとんどの方が、現役を退いています。
本当に山岳会の高齢化
そのものですね。