ぼんのこへんのこ祭(滋賀県湖南市) | 神社ぢからと寺ごころ

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寺社を通じて教わった気づきを綴ってまいります。
頂いた御朱印も順次公開していきます。
磐座とか陰陽石を探すほうが多くなってきてましたが、最近では街中の小社ばかり回ってる気がします。

一宮巡りに行こうとJRに乗りながら爆睡してたのですが、ふと目が覚めて現在地を確認がてらマップを見てみましたら、なんか記憶にある駅名が出てきましたので、なんやったかなって思って検索してみました。

 

奇祭というか珍祭に分類される祭、ぼんのこへんこの祭が行われる神社の最寄り駅でした。


いつか来たいなぁなんて思いながら開催日見てみたら、7月31日って今日やん!


しかも最寄りの甲西駅は次の停車駅という迷う余地のないベストなタイミング。


もちろん降りましたよ。


一宮は行こうと思えば休みごとに行けますが、祭は逃したら一年待たねばなりませんからね。


てことで割り込み記事です。

以前は午後から行われていたようですが、近年の猛暑により何年か前から午前中の開始になっているようです。
 
午前9時から松尾神社において神事より始まり、その後集落を練り歩くというものなんですが、甲西駅に着いたのが9時10分でした。

神事には間に合いそうにありませんが、松尾神社までは徒歩数分ですので練り歩きには間に合うでしょう。

ていうか、こういったローカルなお祭りが駅から徒歩数分のとこで行われるってかなりレアだと思います。

そんな、ぼんのこへんのこ祭がどのようなものか、それなりにしっかり取材してきましたので、長くなりますがお付き合いくださいね。

練り歩きと入れ違いにならないよう音に注意しながら神社に急いでおりますと、かすかに声が聞こえてきて太鼓の音がしてます。

ちょうど神社から出てきたとこのようです。
ぴったりのタイミングです。

そのまま行列についていきますよ。
祭の関係者と集落の住人以外には、湖南市の観光局みたいなとこの人、なにかの研究してるっぽい人と学芸員さんとかが来られてるようでしたが、僕のような興味本位の奇特な人も二人ほどおられるようでした。

旧東海道をまずは東へ。

住人の方々も玄関先でお迎えしてます。
観光客向けでなく、地元に根づいた地元のための祭ってほんといいものです。

なんせ担ぎ手の子供が主役というのが素晴らしい。

集落の東端で一回目の途中祭。

ぼんのこへんのこを下ろして、神事が行われます。

修祓
お隣の三雲地区の神職さんに、神事の時依頼しているとのことです。

このお祭は、松尾神社の境内社である三宝荒神社のお祭りだそうで、松尾神社自体が南照寺というお寺の境内にあり、神職がいない神社なのだそうです。

続いて玉串奉奠。

南照寺の住職
続いて総代代表、講の代表、子供代表、一般代表、一同となります。

子供代表ってのがあるのがいいよね。

さて、子どもたちが担いでいた『ぼんのこへんのこ』とは何なのか説明しますね。

総代さんに許可とって近くで写真撮らせてもらいます。
茅の輪が『ぼんのこ』で、煩悩のことであるとも女性器を表すとも言われています。

その『ぼんのこ』に取り付けられた『へんのこ』はもちろん男根です。
横に茄子が3つ刺さってますが、これはよくわかっていなくて、睾丸であるとも陰核であるとも言われているようです。

ぼんのこの直径は2メートルほどありますが、昔はその倍ぐらいあったそうです。

冷たいお茶で休憩して出発。
余所者の僕にまでお茶を振る舞っていただきました。

コロナ禍では大人が担いでいたみたいですが、やはり子供達が担ぐほうが盛り上がりますよね。

集落の西の端に到着。

ここでも修祓と玉串奉奠が行われます。
ここでも冷たいお茶が振る舞われまして休憩です。

子供達はアイスをもらって一休み。

次へ向かいます。
『ぼんのこへんのこ  作右衛門の茄子や〜い!』という掛け声しながら歩くのですが、さすがに子供達疲れてきたかな。

作右衛門の茄子とは、作右衛門さんの金玉ってこと?


音小さいですけど、動画も載せておきますね。
作右衛門なる人物は、600年ほど前に炎上した神社を再興し、同時に火防の神様の三宝荒神を摂社として祀って、火伏の神様の愛宕神社の祭礼日である7月31日にこの行事を始めた神主さんだと云われています。

お次は御旅所に向かいます。

御旅所

ここで最後の途中祭です。

ここでも修祓と玉串奉奠が行われました。

休憩中にもう一度近くで撮っておきましょう。
へんのこは50センチぐらいでした。

さあ、神社に戻ります。

右手の保育園からの子供達の声援に混じって、『どこのお祭りですか?』という保育士さんの声がしました。
目の前の神社のお祭りなんですけど
、地元でも古くから住まわれてる方以外はあまり知られていないのかも知れません。

南照寺に到着です。
現在は南照寺の境内ですが、明らかに松尾神社が占める割合のほうが多いように思います。

昔は南照寺が松尾神社の神宮寺だったみたいです。

南照寺は、びわ湖108霊場第92番札所になっていますが、これは手を出さないでおこう。

ぼんのこへんのこをも無事到着です。

子供達は記念撮影

子供達はお菓子とジュースをもらって解散。
よくがんばりました。

へんのこも毎年おつかれさん。

片付けとかが始まりましたので、その間に境内見て回ります。

拝殿

左が天満宮、右がこの日の祭の主役の三宝荒神社です。

中門
御祭神は、大山咋神、道臣命、天之忍穂耳命です。

狛犬ではなく亀

ちゃんと阿吽になってましたよ。

左が稲荷大明神、右が愛宕大権現。
愛宕さんもあるのね。

ぼんのこへんのこ祭は元々火防の祭なので愛宕さんの祭だと思われがちですが、こちらでは三宝荒神の祭なんです。

愛宕さんよりももっと生活に身近な三宝荒神の祭として、住民に根付いてきたものということでしょう。

御由緒
まだ時間がかかると思って余裕かましていたら、へんのこ取り外されて三宝荒神の社に納めようとしてますやん。

慌てて写真撮りに走りましたが、間に合わず。

普段は格子から拝見することができますが、見えにくいね。

もう一枚撮っておこう。

へんのこと御幣と茄子が取り外されたぼんのこ。

へんのこを取り付けるための芯棒を取り外しているところ。
この後、ぼんのこを8の字にねじって、三宝荒神社の裏山に投げ捨てて祭は終了となります。

ぼんのこと呼ばれますが、茅の輪ですから、お練りによって集落の厄を閉じ込めたものを投げ捨てて、さよならって感じですかね。
 
総代さんによると、8の字にするのは茅の輪くぐりと同じ意味があるんじゃないかということですが、僕は和合の意味合いもあるんじゃないかと思っています。

もうしばらくかかりそうだったのと、ひとつだけなら次行けそうな時間帯だったので、ここでお暇することにしました。

帰りに目についた御神木。

御神木がというより、この穴がですけどね。