今回はトルコ1部BSLの注目チームや優勝予想について。
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BSLにはユーロリーグ参戦チームが2チームあり、その2チームが毎年優勝するなど絶対的2強として君臨している。
決勝も両チームによる対戦が多いのだが、昨季はRSでテレコムが1位になってエフェスとフェネルバフチェが2位、3位になったために2強の潰し合いがSFで起きる自体となった。
しかもテレコムは決勝前に負けてしまいカーシヤカがエフェスとの決勝に臨むなど従来とは違ったカードになる波乱が起きた。
優勝は順当にエフェスだったとはいえ、2強の資金力はヨーロッパでもスペイン2強やミラノに次ぐ最上位クラスなので他のチームより10億以上多いほど圧倒的なものなのでBBLでボンが2強を抑えてRS1位になっていたが、テレコムのRS1位はBBL2強とその他の資金力格差がそこまで大きくないことを考えるとボン以上の快挙と言える。
BBLのようにプレイオフでは大きなサプライズはなかったが、レベルの高い攻防が随所に見られて面白いプレイオフだった。
そんなBSLで今季個人的に注目しているのは以下のチームである。
アナドゥル・エフェス
トルコ2強の一角で昨季のBSL王者。
ラーキンとミチッチのヨーロッパ最高峰の2ガードを中心にBSLだけでなくユーロリーグでも2連覇していた欧州屈指のビッグクラブ。
圧倒的な資金力で毎年凄まじいロスターを作り上げるが、今季もプレイオフを逃しようがない豪華メンバーが揃った。
退団は長年ゴール下を支えたロールマンのダンストン、日本でプレイ経験あるウンバイ、ついにNBA挑戦に至ったミチッチなど主力含む7人。
残留は抜群のオフェンススキルを持ったクライバーン、昨季怪我で本領を発揮出来なかったラーキン、スコアリングスイングマンのブライアント、220オーバーでプレイエリアの広いプライス、超攻撃的ガードのバボア、ペイントで強さを発揮するジジッチなど。
新加入は以下リンク記事で名古屋加入を予想をしたこともあるウィリス、ユーロカップで絶大なインパクトを残したフィニッシャーのジョーンズなど有力選手含む8人。
ウンバイとダンストンの抜けた部分はウィリスとジョーンズで十分お釣りが来るようなアップグレードだが、ミチッチの穴は埋まっていないように感じる。
ミチッチは個人的にヨーロッパNo.1ガードだと思っていた選手でスコアリングもゲームメイクもズバ抜けてていたのだが、ガードにスター選手の加入はなかった。
ラーキンとバボアで得点力は十分あるが、ミチッチとの併用が出来なくなった部分はマイナス要素かもしれない。
とはいえ凄まじいメンバーが集まっているのでフェネルバフチェ以外にとってはミチッチがいないからといって圧倒的格上なのは変わらず、今季も優勝候補筆頭格である。
個人的注目選手は新加入のジョーンズ。
昨季BSLとユーロカップで大暴れしたニュースターで、ダイブは特に強烈でタイプ的にも退団したダンストンの後釜と言える。
密かに日本でのプレイを期待していた選手だが、あれほどのインパクトを残した選手はやはりユーロリーグ参戦チームは見逃さなかった。
ダンストンに輪を掛けてFTは苦手だが、ポストプレイや体格から想像出来ないトランジション能力は強烈。
リムプロテクターとしても優秀で攻守ともにエフェスでも大活躍すると思っている。
バフチェシー
昨季は勝率5割以下でメンバーの割に成績を残せなかったチーム。
退団はスロベニア代表スイングマンのブラジッチ、抜群のシュート力を持つコンボガードのスミスなど主力含む10人。
残留はフランス人ビッグマンのボウテシーなど5人。
新加入は高い得点力に安定したシュートタッチとゲームメイク力を持つガードのテイラー、以下リンク記事で群馬加入を予想したフォワードのキャバノー、オールラウンダーのブテイルなど9人。
ブラジッチとスミスの退団は痛いが、キャバノーはユーロリーグ常連チームでも主力になれるようなスーパープレイヤーで、それが非ユーロリーグチームに入るのは驚きである。
ユーロリーグチームからオファーがなかったとは思えないのでチームの予算が急激に上がったのかもしれない。
もしもバフチェシーの予算が昨季と同程度ならば日本のチームでも獲得出来たはずなので日本でも見たかったという思いが大きい。
来季は2人ともビッグクラブに戻る可能性が高いのでバッチシーが2人の力でどれだけ成績を上げるか楽しみである。
タレントに関しては昨季のチームより大幅に上がっており、プレイオフくらいは行ってほしいチームになった。
個人的注目選手は新加入のテイラー。
テイラーも実力ある選手で、毎年ユーロリーグチームに移籍すると思っていた選手だが今季も非ユーロリーグチームでプレイということに。
シュート、ドライブともに高水準でゲームメイクも上手い。
数年前のBCLでは圧倒的なプレイでチームの好成績に貢献していたが、今も衰えることなく安定感あるプレイを見せている。
数年前から東京の外国人選手予想をする際にガードの枠で毎年上位候補にしていた選手で、トルコでのプレイにも慣れている。
スミスがいなくなってタイプの違うテイラーが優秀な選手の多いバフチェシーでどうコントロールするか楽しみである。
フェネルバフチェ
トルコ2強の一角で昨季はユーロリーグ、国内ともに期待以下の成績に終わった。
メッリとヴェセリーが揃っていてユーロリーグでも優勝争いしていた時代から比べるとロスターのランクダウンを感じるが、国内レベルでは十分なほどに別格である。
退団はセルビア人ビッグマンのビエリツァ、オフボールビッグマンのブッカー、リムプロテクターのジェキリなど7人。
残留はトルコ代表経験のあるスコアリングガードのウィルべキン、セルビアンシューターのグダリッチ、ロックダウンディフェンダーのピエール、ストレッチビッグマンのヘイズ、ポストゲーマーのモトリー、トルコ代表シューターのメリー、アシスト能力抜群にカラテスなど。
新加入はギリシャ代表でNBA挑戦を終えたドーシー、若手シューターにマダー、220オーバーのパパヤニス、ストレッチビッグマンのセスティーナ、トルコ代表ビッグマンのサンリなど有力選手含む8人。
急に移籍やトレードの噂が出だしたカラテスがどうなるか分からないが、ビッグマンの充実ぶりが昨季に続いて凄まじい。
今季は攻撃的なビッグマンが揃っており、誰かベンチ外になりそうなのが勿体無いくらいに獲得した。
文句なく優勝候補筆頭格でカラテスがいなくなったとしても圧倒的強さなのは変わらないだろう。
個人的注目選手は新加入のセスティーナ。
非常にシュートの上手いビッグマンで、日本のチームがオファーすると思っていた選手。
ユーロリーグでももちろん活躍出来ると思っていたが、強力なビッグマンが充実している今季のフェネルバフチェではPTを得られない可能性もありそうなのでユーロリーグチームに行くなら別のチームの方が良かったようにも思える。
BSLとユーロリーグでローテーションすると思うのでBSLでのプレイが中心になると思うが、ヘイズと並べて5アウトなどチームの幅が広がる可能性など楽しみにしたい。
ブルサスポル
昨季プレイオフ出場チームだが、オフに大解体されたチームでどのような補強をするか注目していたチーム。
退団はスコアリングガードのニーダム、シュートの上手いダジンスキー、コンボガードのクレモンズ、オールラウンドスイングマンのドーキンス、ロールマンのオーガストなど9人。
残留選手に有力選手はおらず、日本のチームに3人移籍して主力も全員いなくなる激動のオフだった。
新加入は川崎でプレイしたヤング、オールラウンドスイングマンのブラウン、スコアリングガードのジョーダン・フロイドなど有力選手含む8人。
出ていった選手に比べてタレントで劣るのは否めず、ロスターもランクダウンで補強的には上手くいかなかったと見ている。
特にフロントコートは選手層が薄く、苦戦が予想され、プレイオフ出場ギリギリのラインになりそう。
個人的注目選手はブラウン。
当ブログではTBTや他の記事でも何度か注目選手として挙げているオールラウンダーのスイングマンでシュート、ドライブといったオフェンススキルだけでなくディフェンス面も優秀。
日本で見たいとずっと思っている選手で、大解体されてタレントを失ったブルサスポルで攻守ともに柱になると見ている。
ガラタサライ
昨季勝率5割未満ながらギリギリでプレイオフ出場したチーム。
非ユーロリーグチームであるが、非ユーロリーグチームの中では資金力のあるチームで毎年ユーロリーグでも主力として活躍出来る選手を獲得したり、中堅トップクラスで固めるなど豪華なロスターを作り上げている。
今オフの退団は中でも外でも得点出来る万能ビッグマンのリスティッチ、スコアリングガードのエニス、ディフェンシブガードのマギーなど主力含む6人。
残留選手に有力選手はいないが、新加入はシューターのラデボウ、同じくシュート能力の高いアクピナー、スコアリングガードのワルデン、トルコ代表シューターのトゥンチャー、以下リンク記事で群馬加入を予想していたオールラウンドビッグマンのマーティンなど11人。
なんと主力級はマーティンだけとはいえ、ユーロリーグ参加チームから5人も獲得するという相変わらず非ユーロリーグでは別格の資金力を窺わせる補強をした。
タレントぶりでは明らかに昨季を上回っており、ビッグマンの層が薄い気がするのでリスティッチを残せたらベストだったが、バックコートはリーグ屈指の布陣になった。
強力なビッグマンを揃えるフェネルバフチェには相性が悪そうだが、プレイオフは当然くらいのロスターと感じる。
個人的注目選手はマーティン。
先述リンク記事にもある通りフィジカル、身体能力だけでなくスキルも抜群のビッグマン。
シュート、ドライブ、ポストプレイ、トランジション、オフボールの合わせなど得点パターンが豊富でリバウンドも強い。
ユーロリーグ常連チームを渡り歩くと思っていたので資金力あるとはいえ、非ユーロリーグチームのガラタサライ移籍には驚いた。
エースでトップスコアラーのなると見ており、テルアビブのようにスター選手が多いわけではないのでスタッツも大きく伸びるはず。
カーシヤカ
昨季の準優勝チームで個人的にヨーロッパトップクラスの名将だと思っているウファクが指揮を取るチーム。
中堅トップレベルの選手がを集めることが多いチームだが、今季はスーパープレイヤーの加入もあってヨーロッパバスケ界を驚かせた。
まず、退団はリトアニア代表でオールラウンドフォワードのクズミンスカス、ドミニカ共和国代表のデルガド、コロンビア代表スイングマンのローダスなど主力含む6人。
残留はゲームメイクとスコアリング両方がハイレベルなマッカラム、スコアリングガードのJブラウン、以下リンク記事で栃木加入を予想したVブラウンなど主力含む8人。
新加入はオールラウンダーのマーティン、ユーロリーグ常連チームを渡り歩いたスイングマンのヒリアードなど5人。
クズミンスカスの移籍は痛く、フォワードの層が心配だが、マーティンとヒリアードは非常にオフェンス力の高い選手で得点力は担保されている。
ヒリアードの加入もヨーロッパバスケ界を騒がせた移籍の一つで、まさかユーロリーグチーム以外でプレイすることになるとは思わなかった。
ヒリアードが加入してプレイオフを逃すようなことがあれば非難轟々かもしれない。
プレイの幅が広い選手が集まっており、何でも出来るチームになりそうなのが期待出来る。
個人的注目選手は新加入のヒリアード。
ユーロリーグ常連チームでも主力級の選手でドライブもシュートも上手い。
マッカラム、マーティンと得点力の高い選手が複数いる今季のカーシヤカで誰がトップスコアラーになるのかも興味深い。
恐らくヒリアードは来季はユーロリーグ常連チームに戻ると思うので非ユーロリーグチームでのプレイを楽しみにしたい。
以上が今季注目しているチームだが、やはり2強のロスターは別格と言える。
2強の次にタレントを揃えたガラタサライと比べても他のユーロリーグチームに移ってもエース格の選手が複数いるのは国内レベルでは圧倒的すぎる。
優勝予想はエフェス。
ミチッチはいなくなってしまったが、ウイング層は異様に厚く、ビッグマンもユーロリーグ初挑戦の選手が2人入って両人とも活躍すると思うので楽しみである。
ACBと比べても遜色ないタレントだらけのBSLから今季も目が離せない。